第8話 シナモンの頭になに細工したんだよ

文字数 1,055文字

ホウジは週に2,3回ほど、脳機能研究センターへ業務報告で訪れた。


センター正面入口、ロビーのソファーを陣取り、ホウジを待ち構えていたカルダモンとシナモン、ナツメグ達。

あ、ジジイ、待ってたんだよ。
相変わらずだな、君は。

半年経つけど、研修は順調かね?

まあね。


それより聞きたいことがあるんだ。

シナモンを襲ったサイコパスのサラリーマンって、どんなヤツなのか教えろよ。

その件は私の範疇外でね。

まったくわからないよ。

嘘つくな。アンタもアタシと同じ情報系だろ?


シナモンは襲われたとき、通りがかりのおじさんがすぐに警察に通報して、警察がシナモンと犯人を一緒に、ここ、センターに連れて来たって言うじゃねえか。

そう、それは確かなの。


でもね、その時のことを思い出そうとすると、頭が痛くなるし、犯人の顔がのっぺらぼうなの。うう……

シナモン、無理して思い出さないで、このまえ熱出したじゃない。
シナモンの頭になに細工したんだよ、おい。
勘弁してくれ、本当に範疇外だし、私にも生活がある。
事務室へ足早に去って行くホウジ。


そしてそこに現れた男子3人。

おい、おまえら、ホウジさんをカツアゲか?

急に現れた男子3人に対し、警戒心を露わにする女子3人。


カルダモンはサンショウの目の前にすっくと立ち、にらみつける。

ソファーでは頭を抑えたシナモンがうずくまり、ナツメグが寄り添う。

どうしたの彼女、具合悪いの?
真っ青だぞ、大丈夫かよ。
思わず、シナモンの肩に手をかけるコウジ。
触らないで!
……なんだよ。
シナモンから凄い剣幕で拒絶されたコウジは、ムッとしてしまう。
そっとしておいてくれ、シナモンは男性アレルギーなんだ。
もう行こうぜ、こいつらに絡んでも損しかしねえ。
そのとき、ゴマが近くの保健室からグリズリー君を連れてやって来た。


おや、君は保健室常連のシナモンさんじゃないですか。

どうされましたか?


とにかく保健室でサフラン先生に診てもらいましょう。

そう言うやいなや、グリズリー君はシナモンをそっと優しくお姫様抱っこして、保健室に連れて行った。


ナツメグはゴマに向かい小さくお礼を言う。

ありがと。
そう言うとナツメグは、カルダモンと一緒にシナモンに付き添い、保健室に入っていった。
なんなんだ、面倒くさいヤツら。
キツい女達だよな。
そう? 

あの子達ってさ、ご飯の時残さずキレイに食べて、調理師のエニシダさんに「ごちそうさま、美味しかった」って声かけてさ、感じよかったんだけどなぁ。

男性アレルギーってなんだよ。

人をバイ菌みたいに。

なんか訳ありみたいだな、探ってみようか(ニヤリ)
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