第11話 用件は30秒以内で

文字数 615文字

シナモンがかつて、変質者に襲われかけたと聞いてから、コウジは今まで以上にシナモンを意識するようになった。
(やられてはいないって噂だけど、どのくらいのダメージだったのかな)


(気になる。いったいどんなことをされたんだ)

(まさか本人には聞けないよな)


(いつも一緒にいるナツメグは知っているだろうけど、あいつちょっと怖い。一刀両断されそうで)

(だめだ、寝ても覚めてもシナモンのことで頭がいっぱいだ)
シナモン、あの、ちょっと。
なに! なにか用!?
用事がないと話しかけちゃダメなのかよ。
私は男性アレルギーなんだからね!

用件は30秒以内でお願い。

そのことなんだけど、えっと、あー、うん、あのさ、
もう30秒過ぎたわよ、今日はここまで、お終い。
えー……マジかよ。
また次の日。
シナモン、
また? なあに?
結論から言うぞ。


俺で免疫つけろよ。

どういうこと?
アレルギーなんだろ? 男が苦手なんだよな?
そうよ、緑のオジサンくらいになれば平気だけど、男の子は苦手。
俺で慣れろっていう話。
一体なに言ってんの?
そこに走って来たナツメグ。
シナモンになんか用!? シナモン大丈夫? 
ナツメグ~、ありがとう~怖かった~
コウジ! もうシナモンに近づかないで!
ええ!? 嘘だろ、話しかけただけで、なんにもしていねえのに……
シナモンはナツメグに肩を寄せ、立ち去る。


立ち去り間際、コウジに向かってちょっとだけイタズラっぽく舌を出すシナモン。

(なんだよあいつ、……なんか可愛いかも)
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