第18話 名前なんていうの？
文字数 943文字
夜、ベッドの中でYouTube『内海ジンジャーおやすみトーク』を見るクローブ。
クローブは俳優の内海ジンジャー推し。一日終わりの大切な憩いの時間。
今日はどんな日だった？
俺は、また君に会えたから……いい日だな。
今日は映画の撮影で、とある温泉地にいるんだ。撮影は順調だよ。
満天の星、見せてあげたい、見えるかな？
……じゃあ、おやすみ、また明日。また夢の中で会おう……
ジン様、おやすみなさい。
……私、少し興奮しているみたい。眠れそうにないかも。
今日はいろんなことがありすぎたから。
昼間、脳機能研究センターでの出来事を思い出すクローブ。
古い校舎かと思ったら、中は最先端設備が整った基地みたいだった。
私、適性テスト合格して……学校には連絡しておくから、お試しでセンターに通わないかって言われて。
センターでも単位もらえるから、学校とセンター、希望の方に通っていいみたい。
私、学校に仲の良い友達いないし、センターに行きたいな。
どうせお父さんもお母さんも私に関心無いから、どっちでもいいって言うだろうし。
成績が良ければ、防開大に推薦入学できるって資料に書いてあったな。
防開大ならお父さんもお母さんも文句無いはず。
寝返りを打つクローブ。
私、男の子苦手なのよね。ジン様は別だけど。
でもセンターにいたあの男の子、割とカッコ良かったな。
でもどうせ私なんかダサいし、興味無いよね……
回想シーン
へえ、なんか俺達と違って賢そう。
君、高校はどこなの？ 何年生？
公立ライラック高校、１年生です。
すげー、公立トップ校じゃん。俺達の偏差値の倍だね。
どんなスキルなの？
あ、いや、まだわからなくて（焦り）
ふーん、でもきっと賢いスキルなんだろーなー。
勉強だけできても、ここじゃ意味無いからな。
なんだ、偉そーに。
スキルも勉強も底辺のクセに。
なんだと、ヤンキー風情が。
アタシは主戦場を完全にSNSに移したからな。
情報を制したものがバトルを制するんだよ。
はっきり言ってオマエらの戦い方は古い。
そうそう、サバゲーの延長、おままごとみたい。
お、サバゲー命の俺へのディスか？
男が怖いくせに、泣かせるぞ。
喧嘩が止まらなくて焦るクローブ。
あ、これ、いつものことだから無視してね。
えっと、名前なんていうの？
クローブ、です。
ゴマです。覚えやすいでしょ。
