第23話 クローブ、初めてのダイブ
文字数 1,029文字
シナモンとナツメグが怪我をしている。全身すり傷だらけ。
バイトで解体工事をした際に、建物倒壊に巻き込まれたという。
クローブはその夜、流氷下にダイブし、明文化されていない『自治体ルール』に潜入した。
次の日、クローブは図解した資料を見せながら、ナツメグに説明する。
選挙でソルト市長が選ばれたでしょ?
ソルトは『芽吹きライン』と『矯正施設』の連携を構想中、新年度に稼働させる計画を立てている。
『芽吹きライン』っていうのは、危険思想の持ち主、依存症患者や精神疾患患者の通報窓口のこと。
『芽吹きライン』で通報された人間の脳をスキャンして、問題が認められれば『矯正施設』へ収容される流れよ。犯罪防止のためにね。
ソルト市長は、『芽吹きライン』の試運転をしたがっている。ダイブしてわかったの。
ナツメグは「父親が、DV、アルコール依存症患者で困っている、助けて欲しい」と、市のホームページ『ソルト市長へのご意見箱~芽吹きライン~』にメールするのよ。
念を入れて、私も近所の人の声として、口裏合わせにメールするわ。
きっとソルト市長は実績作りのために、スムーズに『矯正施設』送りにするはず。
その間に、被害者家族はシェルターに避難できるのよ。