第6話 食堂でミーティング~情報操作系のアタシに任せろ~

文字数 967文字

勢いよく保健室に入ってきたのは、シナモン達の担当教員であるコデマリ先生だった。

コデマリ先生は、シナモン達の前で腕組みをして眉間にシワを寄せる。

やっぱりここにいたのね、あなた達。

規則正しい生活をしなさいって、何度も言いましたよね。

だって、コデマリ先生、夜眠れないんです。

私を襲ったサイコパスを見つけ出して謝らせるまで、嫌な夢を見ると思う。

その件は犯人から示談金をもらって、解決済みだって聞いていますよ。
お金なんか親の借金返済で一瞬で消えちゃったもん。

私はちゃんと謝ってもらいたいだけだし、もう悪いことしていないか確認したいの。

犯人に会いたいの? 

嫌な記憶を思い出して辛くなるだけでしょう?

だってその時の記憶とか、犯人の顔とか、頭に霞がかかっているみたい。

このままだと気持ちが悪いのよ。

……シナモン、過去にばかり囚われていても、いいことはありませんよ。

現在を見なさい。


あなた達のカリキュラムには、税金が投入されているんですから。

…………
放課後、食堂で夕御飯を食べながらおしゃべり。

今夜は、焼き鮭、冷や奴、納豆、ヒジキの和え物、ネギと油揚げのお味噌汁といった渋いメニュー。特別に柚子饅頭のデザート付き。


他の生徒達は質素だ地味だと文句を言っている中、貧困層のシナモン、ナツメグ、カルダモンはいつも「すごいごちそう!」と大はしゃぎ。

シナモン、ちょっといいか?
なあに、柚子のお饅頭はあげないわよ。
シナモンを襲ったサイコパスのサラリーマンのことだよ。


その話をすると、大人はみんな妙な反応をするよな。

私もそれは感じていた。
そうなの。もう終わったことだから関わるなって、いつも言われる。
なにかを隠しているみたいだね。
そうなんだよ! 犯罪者をかばっているみたいじゃん。

おかしくねえか?

私は許さないわよ。バカだけどアイツの存在は絶対に忘れないんだから。
シナモン、一緒にヤツを探そう。
おいおい、シナモン&ナツメグは物理系パワースキルだろ?


そういうことは情報操作系スキルのアタシに任せろよ。

カルダモン先輩っ、よろしくお願いします!
ガタッと立ち上がり、カルダモンに向かってお辞儀するシナモン。
食堂の隅っこで、それを冷ややかに眺めるコウジとサンショウ。

チームメイトのゴマに説明する。

あいつらだよ。

さっき話した生意気な女どもって。

そう、キツい女たちなんだ。
ふうん……
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