第9話 協力?話が変わってきているぞ
文字数 940文字
シナモンと同じ中学のヤツ見つけたんだ。
シナモンは中学の卒業式の帰りに、変質者に襲われている。それから男性恐怖症だってよ。
ちょうど人が通りかかって未遂らしい。
……本当かどうかはわかんねえけどな。
コウジは最初会ったときからの、シナモンの過剰な反応を思い出していた。
それであいつら、仕返しでもするつもりなのか、そのときの変質者を探しているみたいだぜ。
……俺達でなにか手がかりを見つけないか?
そして生意気なあいつらに「教えてください、お願いします」って頭下げさせたら……気持ちいいだろうなぁ。
……お、おぉ。
(サンショウのこういうとこ、少し引くよな)
次の日の食堂。夕食を食べ終えてもお喋りが止まらない、シナモン、カルダモン、ナツメグのテーブル。
遠慮無しに真向かいに座るサンショウ。コウジとゴマもつられて怖ず怖ずと座る。
サンショウは単刀直入に切り出した。
おい、おまえら、人探しをしているみたいだな。
協力してやろうか?
ああ、シナモンを襲ったサイコパスのサラリーマン野郎を探している。
情報提供してくれるのか?
情報は多い方がいい。フェイクかどうかの判断はアタシがする。
(ん? なんかカチンときたぞ)
(シナモンに向かって)
おまえ、相手の顔を見ているんだろ? どんな特徴だったのか言ってみろよ。
ちょっと待って、シナモンはその時のことを思い出そうとすると、熱が出るんだ。
そうなの、犯人の顔を思い出そうとすると、頭が痛くなるし、センターに運ばれてからの記憶がおぼろなの。
もしかして、記憶を操作されているんじゃないのか?
記憶操作は都市伝説じゃなく、実証実験済みって噂だし。
記憶操作?
そんなことができるのは上級州国民のやつらじゃねえか!
もうおまえら手を引け、相手が悪い、あきらめろ。
解散、解散。
なんだって、上級州国民?
アイツら年寄りにそんな力あるのかよ。
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