第7話 今から半年前のこと~スクールゾーンのスカウトマン~

文字数 1,078文字

今からさかのぼること半年前。

カルダモンは泉水駅周辺の縄張りをめぐるチーム抗争に明け暮れていた。


カルダモンが得意なのは情報戦。

デマを流し相手チームを内部分裂させたり、敵同士を仲違いさせ自滅させたり。

巧妙なさじ加減で敵の戦力ダウンと、仲間を一致団結鼓舞させるのが得意だった。


カルダモンは仲間達と深夜のファミレスにたむろして、SNSを駆使し、犯罪に手を貸す敵チームを攻撃する毎日。


いつものバトル帰りの朝方、カルダモンはスクールゾーンで、交通安全の旗を持つお爺さんに声をかけられる。

ちょっと、そこの君、ポニーテールの。
なんだい、爺さん?
お爺さんは目の焦点をカルダモンに合わせる。


目を細めながら、

君、実にもったいない。


スキルの無駄遣いをしているようだねぇ。

なんのことだよ、ジジイ。
口が悪いねぇ。

君は情報を収穫したり、凶器にしたり、自由に操ることに長けているようだ。

自分のスキルをつまらないことで消耗しないで、ちゃんと州国のために役立てた方がいい。


州国運営のセンターで研修を受けてみないかね?


私はホウジと言います。スカウトマンです。 

(名刺を出す)

脳機能研究センター?


学校の保健室仲間が通っているよ。

異能力を所持して特待生になれば、金が稼げるんだって?

なんとまあ、正直なお仲間だ。

金も稼げるし、将来も州国が保証してくれるよ。


君にはレアな異能力の片鱗が見える。

きちんとカリキュラムに沿って研修を受ければ、特待生になれると思うがね。

アタシはオイシイ話には裏があると思っている。


アタシの手下どもが調べてくれたんだけど、スキルアップして特待生になると、金は稼げても、それ相当のヤバい現場に行かされるらしいな。

アタシは騙されないぞ。アタシは使い捨てにされたくねえんだ。

犯罪防止を行うわけだから、はっきり言っておくが安全な現場ではないよ。怖いかい?


自分の未知の可能性を伸ばすか、自滅するかは本人の才覚次第ってとこだねぇ。


一生底辺をウロつくか、一念発起して州国に貢献して収益を得るか、選ぶのは君自身だから無理強いはしないよ。

怖くなんかねーよ!

このアタシがビビるわけねえだろ。


行ってやるよ、センターとやらに!


カルダモンは根っからのヤンキー気質。

売り言葉に買い言葉でセンター行きを決めたのだった。


カルダモンのスキルはカリキュラムの早い段階で開花した。


鬼女(スレッド):

掲示板の鬼女板から生まれた遊撃部隊、スネーク部隊、特定部隊など、SNS界隈に駐屯する数々の部隊を、意のままに動かす。長期戦も短期戦もお手のもの。


手下ども(アミーゴ):

小回りのきく情報収集部隊。SNSに潜む腹心の部下達。

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