第62話  エデン文化圏

文字数 914文字



「やあ、メリークリスマス。」

ここはリアリエの故郷 バッキュル星 第3種知性体が居住している。

2人のバッキュル星人がケーキとお雑煮を前にしている。

「ところでメリークリスマスってなんなんだろうね?。」

「新年の挨拶じゃないの?」

「じゃあ明けましておめでとうってのは?」

「いろんな星があるんだからいろんな挨拶があるんじゃないの?」

「でもどっちもエデンが発祥だって。」

バッキュル星に新年って概念があったっけ?


この頃ピータンは思うことがある。

たしかに知性体としては低レベルだったのだけれど、文化って言うものが存在していて特別な種族だ。

それは連合に加入出来るレベルの知性体になっても変わらない。

いつのまにか宇宙はエデンの特殊性に魅せられてしまった。

既に連合内外の星々を巻き込んでエデン文化圏というものが出来てしまっている。

これは意外と便利でそれまでは各星の種族にそれぞれの価値観があってコミュニケーションの困難な事もあったんだけれど、同一の文化を持つことでまあまあましになった。

同じ文化って言っても勝手に解釈して変わっちゃっている事もあるし。

多様な民族がいろいろな文化を持ってそれなりに共存しているって言うのは珍しかったんだ。

まあほどほどに協調していかないと仕方が無かったんだけどね。

よほど特異なのか例外的に人知れずピータンやキミちゃん帝王様がエデンを守っている。

連合にとっては宝物みたいになってしまった。

ラド=第1種知性体?に遭遇してからそのように仕向けられている様な気がする。

ピータン は第一知性体に踊らされている?

目の前でラドがプリンをスプーンで揺らしている。

その、感情の読み取れない不思議な目はじっとピータンに向けられている。

まるでピータンの考えを読みとっているようだ。

エデンを発見してその文化に魅了される前の無機質な生活を思い出す。

それが悪かったわけじゃない。

今と比べるとって言うだけ。

そしてもう後戻りは出来ない。

「まあいいか、面白いし。」

ピータンはプリンを口に含んだ。

「ん、美味しい。」

ラドを膝の上に乗せたシンは相変わらずぼんやりと配信された動画を見ている。

シルエとアポカリプスのコラボの予告が配信されて話題になっているみたいだ。





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