第４話　始動

辺境惑星ペコへの探索隊が編成された。

惑星ヴァイ(本当は人間には発音出来ないし聞き取れない名前なんだけどとりあえず)統一国家、星間通商連合新規事業部開拓課課長ピータン(本当は人間には発音出来ないし聞き取れない名前なんだけどとりあえず)はやる気満々だ。

別に人が働く必要なんか全くないんだけどなんかしていたいって感情や好奇心は知的階層が上がっても無くなることは無かった。

過去に仕事とか職業と言われていた作業とか経済行動などは現在では全てAIやアーフが行っている。

ただ、それらのことを人間が行うのは娯楽としてアーフの補助付きと言う条件付きで認められている。

安全やヒューマンエラーを防ぐために必要な措置なんだ。

ピータン以外は人造人間(Artificial Human)アーフで大丈夫っていうかアーフの方が優秀。
アーフは間違ったり、失敗しないし人間を最優先して守るから。

ピータンはAIで制御されたアーフに連れて行ってもらうだけ。

「ピータン大丈夫？現地の生物にあったり話したりするんだよ。」

アーフ達は心配そうに言う。

「もう長いこと働いたことなかったからちょっと怖いけど、なんか楽しみ。」

知的階層2にもなると強がったり、意地を張ることもない。
自分の気持ちにとても素直だ。

それにAIを恐れる事も人造人間を差別する事もない。

そんな事は遠い昔に克服されている。

「アーフ達がいるから大丈夫だよ。」

「あの二つ目ニョロニョロがコンタクトをとるペコ人っていったいどんな種族なんだろう。」

ピータンは宇宙の辺境の綺麗な水色の惑星，地球(ペコ)を示す宇宙図を見てなんだかワクワクした。

今まで辺境の低階層の星として誰も顧みる事が無かっただけにとても新鮮だ。

「ラドすごいよ上手だね。」

シンはラドとゲームをしている。

モンスターを狩って装備を強くして行くゲームなんだけどラドは殆どモンスターの攻撃を受けないので装備が弱くても時間さえあれば全然負けない。

ラドは飽きることがない。

シンの必死な顔を見ながらニコニコしながらゲームを続ける。

チャイムがなってモニターがつく。
同級生のアキの顔が映る。

と言ってもシンが学校に行っていたのは半年ぐらい前までだけど。

「シンいる？」

「どうしたの？」

「いいから開けて。」

アキはとっても強引だけどシンが会話出来る数少ない人間のひとり。

同じ町内で近くに住んでいるからなのか何故か毎日来る。

「ラドかわいい、元気だった？」

アキはラドに会うのは初めてのはずなんだけどどうして名前を知っているんだろう。

「シン、この数式はどう解いたらいいのか教えて。」

当たり前のように大学入試の問題を見せて来る。

シンが黙ったまま首をかしげていると、

「だって学校じゃ教えてくれないし塾だと別料金だよ。シンならタダで誰よりもわかりやすく教えてくれるでしょう？」

アキは来年飛び級で大学受験するんだ。

シンも同じ。

アキはシンと同じに島橋大学を受験するって言うんだ。

「タブレットで検索したらホラ、ここに答えと考え方が載っているよ。」

アキはラドを膝に乗せてシンがタブレットの画面に指を這わせて検索するのをうっとりと見ている。

「うん、それは見たわ。でも私シンに教えてもらった方が頭に入るの。」