第3話 宇宙人かもしれない

文字数 1,160文字

「シンが生まれた時からずっと一緒に居たよ。」

ラドはベッドに座って足をぶらぶらさせている。

「ラドは宇宙人なの?」って聞くと

「僕が宇宙人ならシンも宇宙人だね。」
そう言ってニコニコしている。

ネットに出ている目撃情報をタブレットで見せた。

「これはみんな僕。僕たちは全部で一つ。僕たちの目的は見る事。それだけ。でもなにも決まりはない。それも僕が決める。」

「ラドって僕と一緒に居てなにをするの?」

「シンを見ている。それから...。わからない。楽しみだね。」

そうだ、僕だってこれからなにが起こるかなんてわからない。

ラドは本来名前を持たない。
どこの星で生まれて、どうして宇宙中に分布しているのか?
なにが目的なのか誰も知らない。

星間通商連合の宗主国M76星団 ウリアレス恒星団、惑星ヴァイ統一国家の史書集団に編纂されたコスモエンサイクロペディアにもただその存在しか記載されていない。

コスモエンサイクロペディアは宇宙を取り巻くアカシック粒子で構成されていて巨大かつ深淵な記録、あるいは記憶体とも言われている。

紙の本や磁気のような記録体ではない。

実のところヴァイ惑星人の様な生命体としては高度な文明レベル第2種知性体でもアカシック粒子の存在は明らかにされておらず便利なのでそのまま活用していると言ったところだ。

そして「それ」もコスモエンサイクロペディア同様に正体のしれない存在だ。

他の文明レベルの低い星の住民から神と呼ばれることもある彼らがもしかすると神なのではと考えてしまう存在なのだ。

しかし「それ」がラドと名乗って宇宙でも辺境の星域の自らは地球人と名乗る第5種知性体とコンタクトした事はたちまち星間通商連合の知るところとなった。

地球は星間通商連合では辺境惑星ペコと呼ばれる。

テレビでは世界のいろんな国が戦争をしている様子がニュースとして取り上げている。
地球では絶えず戦争がある。
宗教や歴史認識、経済的な理由で戦争をする。
千年以上も戦い続けている。
もう分かり合えないのかもしれない。
いや、わかっているからやめられないのかな?

ラドはなにも感じていないかのようにジッと画面を見ている。

なんだか地球人として恥ずかしいような気分になる。

ところがニュース番組が終わってバラエティ番組に変わるとラドの反応が一変する。

「あきゃー。あははいひひ。」

なんかお笑い芸人の一発ギャグを見てベッドから転がり落ちても笑い転げている。

「そんなに面白いの?」

「うん。ウヒー、あはは。サイコー。」

涙流して笑ってる。

芸人さんもこんなお客さんばっかりだったら幸せだろうな。

ラドの説明によると宇宙には地球人以外にもレベル第5種知性体はいるけど芸術やエンタテインメントに知性を消費する生命体は地球人だけらしい。

他の知性体はもっと合理的に知性を消費するらしい。

知性の消費ってなんだ?

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