第７話　商材発見１

ピータンは額の目の網膜に表示されるアーフが収集した惑星ペコの調査資料を解析する。

「それ」がラドの形態をとってなぜ文明レベル第5種知性体の種族と接触したのかが知りたくて私はこの辺境惑星ペコにやって来た。

だけど見る限りなんの変哲もない未開の文明。

ここにあるものはすべて我が星や星間連合で賄われてしまう。

文明レベル第4種の帝国でも何も得るものはないだろう。

第5種と第4種と言うだけで何万年もの進歩のレベル差があるのだから生命体としては頂点にある第2種の我々とでは比べるべくもない。

なにしろ文明レベルが低すぎてどうしたらいいのかさっぱりわからない。

まあ、だからどこの星の文明も関わらないで放置して来たんだろう。

何か交渉しようとしても星として統合された政府がない。

キミちゃん帝王様も戸惑っている様子。

調査され尽くしているので今さらなんだけど、もしかしたらって言う期待もあったんだけど。

シンもラドも何も進展がない事に飽きたのか公園のベンチで漫画の続きを読み始める。

時々ラドがおーっとかきききっとか声を上げる。

キミちゃん帝王様はその様子を怪訝な顔をして見る。

「それ」が見たものに反応する事など多分何億年も無かったはず。

もちろん現地の種族に接触する事もそうだけど。

キミちゃん帝王様はベンチの空いている所に座って二人が読み終えて置いてある本と言う紙の束を手に取る。

ペラペラと紙をめくって、急にハッとしてピータンを手招きして本を渡す。

「紙を作る技術は5万年前に使われなくなりました。現在はアカシック粒子を変性して記憶させるのが一般的です。」

アーフがそう言うのにうなづきながらピータンは紙の上に描かれている図形を解析して行く。

接触した事の無い異言語であってもピータンの額の目はリアルタイムで翻訳しその意味を理解する。

二人は即時にその意味と価値を理解する。

「面白いでしょ。それになんだか物悲しさもあってジーンって胸にくるものがあるんだ。」

シンが二人に話し掛けた。

ペコ人よりも遥かに高度な知性と文明を持つ２つの人種がシンの言葉に共感してうんうんとうなづく。

すぐそばで漫画本を手にした帝国人やアーフ達も同じようだ。

「家にも沢山あるから遊びにおいでよ。」

みんなシンとラドが手をつないで歩く後をついて行く。

ピータンは考えている。
今まで自分達の知性や文明基準でしか他の惑星を評価してこなかった。
もちろん干渉する事には厳格な制限があったのだけれど。

実際に異なる惑星の地表に立ってその種族に接触したのは何万年か前までで途切れている。

下手な干渉はその種族を滅ぼしたり歪に変質させてしまう事があるからだ。

この辺境惑星にもかつて我々ではない他の種族が干渉した記録はある。

ギルガメッシュ、シュメール、マヤ、エジプトなど当時の星間法の不備から多くの種族がこの星で文明育成実験と言うかゲームをして途中で得るものがないのでほうりだしたと言う痕跡がある。

彼らも我々同様この星の種族の独特な知性の構成に気づかなかったのだろう。