第9話 通商交渉前夜

文字数 1,232文字

国連があるんじゃないか?

そういう案がなかったわけでもない。

「じゃがあれは一部の国家に利害が偏りすぎているし、敵対する国家が拒否権を発動したりで何も決まらん。」





あれ?考えるのやめたん?

アニメ見てるじゃん。

シンの母がいつの間に用意していたのかみんなにドーナツとプリンを配っているし。

シンからは女の子達がきゃあきゃあと楽しげにはしゃいでとっても華やかに見える。

アーフの一体が語り始める。
「星間交渉の特例、下位レベルとの交渉の際には上位レベル種族には下位レベルの種族に対して指導と保護の義務が生じます。」

「下位レベルの種族が不当に不利益を被る様な条約や協定を結んだり不当に搾取されない様に指導する事や連合以外の種族による干渉や侵略の排除をする義務があります。」

「この義務の一環として下位レベルの種族に対して交渉人の指定、任命が可能です。」

「実際の運用や実施はアーフが代行するので公平であり、間違いがなく、迅速です。」

「文明レベル第4種知性体国家アグウグ帝国キミちゃん帝王様、異論はありますか?」

「上位レベル種族として下位レベルの面倒を見るのはメリットよりも責任が重い。我が帝国もかつて保護下にあった。」

「下位レベルの種族が通商交渉を行うにはやむを得ない特例だと思う。」

「アグウグ帝国は惑星ヴァイ統一国家、星間通商連合の特例を支持する。」

急に家の天井が消えて巨大なスクリーンが空をおおった。

星間通商連合に加盟する無数の種族がアクセスしてウィンドウを開く。
アグウグ帝国下の各属国もアクセスしている。

シン達がいるリビングも投影されている。

おそらく地球のほぼ全ての通信機器がこの状況を写しているだろう。

「では惑星ヴァイ統一国家、星間通商連合新規事業部開拓課課長ピータンはその権限により文明レベル第5種知性体辺境惑星ペコの住人 田延 伸(たのべ しん)を惑星ペコの代表に任命する。」

別に何か渡されるわけでもなんでもない。

ただものすごく沢山の人達の前で任命を受けただけ。

何か宣誓させられるという訳でもない様だ。

それでもやっぱりなんとなく上位文明レベルって事、間違いは起こさないからっていう傲慢さは否めないよねって思う。

任命イコール星間通商連合に加盟?
そうしないと多分地球が滅んでしまうんだけど一方的に乗り込んで来てそうしなければならない所に追い込んでいるよね?

星間通商連合規約が勝手に頭の中に入ってくる。

同時に公用語としてインターコスモ語が一方的にインストールされた。

「法律や規約っていうのは周知されて初めて意味があるんだよ。」

「そうでないと何も知らずに違反をしてしまうでしょ。こうやって周知してしまえば違反者は故意に違反している事が明確なので極刑にするのに容赦が要らないでしょ。」

ピータンがドーナツを齧りながらニコニコして言う。

この人達は何も感じていないみたいだけどこれって強烈な圧政だと思う。

でも見た感じはプリン食べてきゃあきゃあ言っている女の子達なんだ。

なんだこのギャップ。

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