第15話 辺境は大騒ぎ

文字数 1,164文字

「ピータン、ピータン、アグウグ帝国が惑星ペコに暫定政府を作ったわよ。」

星間連合の管理官が大騒ぎしている。

「大丈夫だよ、あの辺は正常化するのに手がかかるばっかりでまともな文化はないから。」

「それよりも辺境の第72星域方面に非加盟の種族がいくつか出張って来て潰し合いをしているみたいじゃないの。」

「いい機会だから潰しておく?」

知性が高いって事と平和ってのは別物なの?

「もう、キミちゃん帝王様が嬉々として出かけて行ったよ。」

「帝国だけに楽しいことをさせておかないわ。すぐに追うわよ。」


「なんかー、傍受した情報ではさー。第8星区のカピタ星(この種族では地球の事をカピタと呼ぶようだ。)に面白いもんがあるみたいだよー。」



ツクヴェ未開星開発事業団の楔形宇宙船内ではヒューマノイド型のツクヴェ星人が話しをしている。

生物形態は辺境惑星ペコ人と変わらないし、やはりネオテニー(幼形成熟)だ。

知性や技術レベルを高めるためには必要な事なのかもしれない。

ペコ人の遺伝子にもそう言った因子はあり今後ヴァイ星人と接した際にその因子が活性化すると考える研究者もいる。

突然ツクヴェ星人の宇宙船が停止する。

「制御不能です。2時間後に恒星デデメの重力に捕まり墜落します。」

「うわあ、この位置で救命ポッドに入っても誰も助けには来れないだろうなー、嫌だなー。」

髪を頭頂部でお団子にした10歳ぐらいの女の子にしか見えない船長が腕組みしている。

船内放送が何かわからない言語?ノイズ?を鳴らし始める。

「なんだ?何て言っている?」

クルー達が騒いでいると言語を特定されたのかノイズはツクヴェ星公用語に切り替わる。

「星間通商連合の協定に基づく降伏の意思表示をせよ。10分後に意思表示がなければ貴艦を破壊する。」

なんだー。星間通商連合なんて聞いた事ないぞー。
協定に基づく降伏の意思表示ってどうすんの?

周囲5光年を探索するが人工的な構造物は見つけられない。

いつもは未開星に乗り込んで好き勝手に掠奪の限りを楽しんで来たツクヴェ星人も今回ばかりは観念した。

ここから8光年ほど離れた恒星系ではアグウグ帝国が小競り合いをしていた2つの星の16機の宇宙船を停止させている。

帝国は約20000の航行器のうち60器を制圧に投入した。
1器でもオーバーキルなのにでたらめだ。

実際の所は制圧対象に視認される距離に近づく必要もない。

10光年ほど先でロックオンしてしまえば良い。

それでも威圧の意味もあってキミちゃん帝王様は相手の目前に航行器を出現させる。

この辺の新興文明レベルではほぼ相手にならない。

武装解除して不可侵条約を結ばせて連合のテリトリーに入らないようにして帰還させる。

沈めてしまうと本星で彼我の力の差を認識出来ずにまたのこのこ出てくる可能性があるからだ。

充分に威圧するのは戦術としては有効なのだ。




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