第28話 宙族の襲撃2

文字数 1,160文字



「あれ、あれあれ、あのかわいいの何?」

アキが時空バスの器窓の外を指差す。

雪うさぎみたいな白いものがバスの左舷に見える。

「レベル第4.5種知性体ウサミミ星人の宇宙船を捕捉。」

宇宙船隊はアルボイ級 中型船120機と人型搭載機4800機。

どうやらクツシタノアナ惑星に侵攻するようだ。

「あいつらぅ。連合非加盟だし多分無所属の新興宙族だなぅ。連合や帝国についてなーんもしらんのだわぅ。」

「超旧式のワープ航法なんか使っているぅ。」

ガイドのミルゥカさんが鼻で笑っている。

「でもでも向こうはなんかちょっとかわいいけど軍艦の艦隊よ。」

アキがあせっていると先方から降伏の勧告が来た。

ミルゥカさんが我慢出来なくなって床を笑い転げている。

その衣装で足上げて床を笑い転げるのは視覚的にまずいような気がしますよ。

いろいろ。

「わーらっちゃうぅ。私を相手に4.5ごときがぅー。あーははは。」

「でも、こっちは観光バスでしょ?」

アキが言う。

ミルゥカさんがニヤリと笑う。
なんかそれ弱い者いじめする時のヤラシー目。

「宙族なんかぁぅー。Gみたいにぃー。どこでもいるんだからぅー。観光バスでもーぉ。当たり前のように対策しているわぁよ。」

などと言っているとバスのAIナビが音声案内を始めた。

「 文明レベル4.5種知性体の艦船を認識。連合管轄の観光地区に対する武力行使の態勢を確認。宙族と断定して防御と排除行動を開始します。」

「総員戦闘態勢をとれ!」

「えーっ。なにそれ?」

「アトラクションだと思って戦闘を楽しんでね。」

ミルゥカさんが言うと座席の前からゴーグルとコントローラが出てくる。

VRゴーグルみたいなものでバスに搭載された人型汎用機に武装させて戦うってこと?

「全然戦闘の素人なんだけど。」

「エデン人ってゲームってやつでみんな戦闘訓練していてぇみんなソルジャーだしぃ、DNA操作の時に反射速度を第4種知性体レベルまで上げているからぅ大丈夫ってぅ聞いたけどぅ?」

有無を言わさずシン達バスツアーの参加者はVRの戦場に突入した。

シンの搭乗している機体はラドがコントロールしている。

こんなバスよりでかい機体が20機ってどこに搭載していたのか全くでたらめだ。

バスからはビームやらミサイルがこれもまたどこに積んでいたのってぐらい飛び出して行く。

ウサミミ艦隊がたちまち駆逐されて行く。

シン達の機体はウサミミ艦隊の弾幕をかわして艦を守ろうとしている艦載機をポンポンとビームで破壊していく。

飛んでくるミサイルやビームがスローモーションみたいで全然当たる気がしない。

機体や搭乗者のスペックの違いでこんなにも戦力が違うってのを目の当たりにする。

連合の武力からすると第4.5種知性体の武力などゲーム以下なのか。

戦闘態を開始してから2分程でウサミミ艦隊はボロボロになった旗艦を残して壊滅した。


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