第34話 バスツアー  1

文字数 1,029文字

宇宙星域285、ネコの足星系 クツシタノアナ惑星の周回軌道上に実体化する。

「えーっとぅ、ちょっとぉ脱線しましたがぅ、無事ぃクツシタノアナ惑星にぃやってまいりましたぁぅ。」

「あれー。ミルゥカさんまた何か宇宙船みたいなのが来ているよ。」

シンが窓の外を指差して言う。

「ありゃ。ホントぅ、面倒くさいなーぅ。ちょっと騒ぎがあるとあっちこっちから目をつけられていろいろやってくるのよねー。」

連合は通常は文明レベル第4種知性体以上の種族間で締結されていてそれ以下には干渉しない。

文明レベル第5種知性体以下の種族はお互いに接触する航行技術がないので孤独な存在だと思っちゃうんだね。

「エデンもそうだったでしょうぅ?宇宙人は本当にいるのか?ってぅ、あははーぅ。大笑い、あんた達も宇宙人じゃないのよぅ。」

「で、あれどうすんの?」

「あのレベルだとぅクツシタノアナ星人でもぉ自力で撃退出来るからぁほっとこうかなぅ。」

連合的に問題ないのかな?

「観光には影響ないしぅ。」

「クツシタノアナって名前って嫌じゃないのかな?」

「ん?それはぅこの惑星ではぅ誇り高い戦士ってぇ言う意味があってぅ誰も嫌がっていないよぅ。」

「え、そうなの?」

「惑星の統一戦争の戦士達が履いていた靴下が過酷な行軍で擦り切れて穴が空いてしまった。この靴下の穴こそが激しい戦いを生き抜いた戦士の誇りって言う事らしいよ。」

アーフが説明してくれる。

「ちなみに"ペコ"は古代ヴァイ語で『蒼き妖精』って意味よあなた達は好きじゃないみたいだけど。」

「じゃあ、エデンは?」

「幼稚園よぅ。」

「幼稚園って?」

「過去に惑星ペコに干渉した異星人がいたわ。おそらく文明レベル第3種知性体。」

「それがあなた達の祖先の遺伝子操作をして初期のネオテニー(幼形成熟)化の処置をしたんだと思うけど、中途半端にしか出来なかったので途中で投げ出したのよ。」

「けむくじゃらの類人猿からお肌ツルツルの人間になったんだけど、思いのほか早く成熟しちゃったんだと思う。」

「この遺伝子操作の研究施設がぅエデンってぇ呼ばれていたのねぅ。」

「なんだか、がっかり。」

シンがうなだれている。

「じゃなぜピータンはエデンの話しを持ち出したの?」

アキが話しに入ってくる。

「ピータンにぃとってはぁ『幼稚園=エデン』ってぇ言うのはぅ進化への道のりの上でぇ神聖でぇ成功のぅ証しなのよぅ。だってぇ今回のネオテニー操作がぅほぼ完璧に出来たからぅ。」

うーむ。

生き物って自然に進化するものじゃないのか?

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