第56話  第5683次宇宙大戦3

文字数 978文字



ブリサワルス皇国所属のパトロール艦隊に対して12時の位置にいかにも戦闘を主目的とするといった巨大な艦船が100隻程実体化する。

第7皇国艦隊がワープして来た。

パトロール艦隊の艦橋内のクルーは急に元気が出て来たみたいでピータンやアーフに横暴だとか文句を言っている。

艦隊はその主砲をヴァイ製の航行バス「 ピム15」に向ける。

大きさ的には巨大なタンカーと観光バスぐらいの差がある。

それでもピータンはなんとも思っていない様な表情を変えない。

「うーむ、やる気満点って感じ?とりあえず制圧して矯正教育をしちゃう?」

「子供が3人とお姉さんが1人だ拘束してしまえ。」

パトロール艦隊の艦長が言う。

「バカなのかしら?そんな事出来る訳ないじゃないの。」

パトロール艦隊員がピータン達を捕らえようと動いた瞬間、艦橋内のブリサワルス皇国人はバタバタと床に倒れた。

ピータンが高速で飛ぶように移動して掌底で胸を突くと彼らは抵抗する間もなく倒されていく。

「何?何が起こった?」

「あなた達が私を拘束出来る訳ないじゃない。」

第5種知性体と第2種知性体では種としてのスペックがぜーんぜーん違う。

その知性を持つための器自体が違うんだ。

素早く情報を処理するための能力と反射神経、それを維持しその速度に対応できる骨格と筋肉。

単純に知識がいっぱいあって頭いいですってわけがない。

生物的には彼らからすれば格下の知性体など本来餌みたいなものでただのタンパク質に過ぎない。

もっと効果的なものや美味しいものがあるから食べないけれど。

ピータンが床に倒れたブリサワルス皇国人を静かに見下ろすのを見て日頃は人懐っこい様子なんだけれど本当は対等なんかじゃないんだってシンは再認識する。

圧倒的な身体能力がある。

それはかつて第5種知性体だったエデンの人も第4種になるためにそれまでのホモサピエンスから強制的な遺伝子操作で変質したミュータントになった時に経験しているのでわかる。

人間じゃなくなったなーこれはーって思ったし。

そのスペックはそれまでの人間からすればまさに超人でありピータンの様な第2種ともなれば神のようなものだ。

無謀だね。

「艦隊は殲滅、皇国は制圧、そして強制教育を施す。」

ピータンが冷たく宣言する。

倒れているブリサワルス皇国人が言う。

「あんな小さな船で何が出来る。我が皇国艦隊は無敵だぞ。」

まだ、そんな事言っている。


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