第43話 第3種知性体
文字数 1,492文字
立方体のコンパートメントが無数に積み上げられたほぼ色の無い空間が広がっている。
接渉係のリアンダーさんが数体のアーフとともに器内に転移して来た。
アーフっていうのは宇宙共通なんだろうか?
以前に連合の科学者が説明してくれた事をベースにコスモエンサイクロペディアで補足すればそういう事はすぐにわかるけど。
知性体のレベルが上がるほど繁殖率はどんどん下がっていき同時に代替えの労働力が必要になる。
この時候補に上がるのがクローンと人造人間だ。
ただ人造人間が強度やエネルギー効率や動作などのスペックアップが容易なのに対してクローンはあくまで元の種族の複製で脆弱な生物なのでコストパフォーマンスが良くない。
人格もあって、文句言うし。
と言う事でもっぱら人造人間(Artificial Human)アーフが普及するのが一般的な種の進化の流れだそうだ。
アーフが種の補佐のためのパートナーみたいな存在だとするとクローンは繁殖と同様に考えられている。
シュッツグル星人民政府のアーフがたった今連合との条約が締結されたことを伝える。
600万光年離れていても通信にタイムラグはないようだ。
「エデンの航行器を捕獲したって軍では凄く盛り上がっていたんだ。」
リアンダーさんが言う。
「君達、配信グループのアポカリプスの人達でしょう。そして歌い手のリアリエさん。変幻自在の声、頭の中を突き抜けるシャウト。私ファンなの。」
「まだシュッツグル星とは交流はなかったと思うけど。」
シンが不思議そうに言う。
「アカシックネットワーク上にアップされているんだからやりようによってはいくらでもダウンロード出来てしまうよ。」
ラドが言う。
「第3種知性体以上になると多少のセキュリティは突破してしまうよ。だから条約で規定するんだよ。」
「何故今まで条約を結ばなかったの?」
シンの問いにリアンダーさんの横にいたアーフが答える。
面倒くさい回答はアーフがするんだね。
「連合が接触して来た時は我々は既に第3種知性体に進化していたので加入するメリットが見いだせなかったの、でも今回の件は条約でも結ばないと戦争になっちゃうからね。さすがに第2種知性体と戦争はしたくないわ。」
リアンダーさんが続ける。
「面白いこともあるしね。これからシュッツグルも変わる。長い長い退屈な停滞の時代が終わるわ。さっそくだけどあなた達ライブやらない?」
シュッツグル星人も道路を歩くといった習慣は失っている。
積み重なり林立する立方体のコンパートメントの間を短距離転移して移動する。
コロニー内では他の移動手段は必要がないようだ。
この短距離転移は自身だけではなくゲストも同様に移動させることが出来る。
パッと明るいところに転移する。
どうやらコンパートメントの中に入ったようだ。
外観よりも遥かに広い。
壁も天井も一様に白く光っている。
壁面照明なのかそういう素材なのかはわからない。
何にもないけれどこの星の紹介などは頭の中に直接ダウンロードされた。
高度な知性体では情報は直接脳内にインストールされ、食事は胃または血管内に栄養素が転送されることが多い。
ムダや不均一性、非合理性などを極端に嫌う傾向がある。
感情的なことは一切表すことがないのも傾向の一つだ。
だからエデンの文化の驚愕する。
初めは理解出来ずに呆然とするのだけれどまるで何万年も何世代もそのDNAの底に潜めていたものが爆発的に表層に現れて滂沱の涙を流したかと思うと大爆笑したりする。
感情が、情動が動き始める。
何のために生きているのかに急に気づいたかのように。
どうやらシュッツグル星人も少し前にエデンを知ってエモーションに覚醒してしまったようだ。
接渉係のリアンダーさんが数体のアーフとともに器内に転移して来た。
アーフっていうのは宇宙共通なんだろうか?
以前に連合の科学者が説明してくれた事をベースにコスモエンサイクロペディアで補足すればそういう事はすぐにわかるけど。
知性体のレベルが上がるほど繁殖率はどんどん下がっていき同時に代替えの労働力が必要になる。
この時候補に上がるのがクローンと人造人間だ。
ただ人造人間が強度やエネルギー効率や動作などのスペックアップが容易なのに対してクローンはあくまで元の種族の複製で脆弱な生物なのでコストパフォーマンスが良くない。
人格もあって、文句言うし。
と言う事でもっぱら人造人間(Artificial Human)アーフが普及するのが一般的な種の進化の流れだそうだ。
アーフが種の補佐のためのパートナーみたいな存在だとするとクローンは繁殖と同様に考えられている。
シュッツグル星人民政府のアーフがたった今連合との条約が締結されたことを伝える。
600万光年離れていても通信にタイムラグはないようだ。
「エデンの航行器を捕獲したって軍では凄く盛り上がっていたんだ。」
リアンダーさんが言う。
「君達、配信グループのアポカリプスの人達でしょう。そして歌い手のリアリエさん。変幻自在の声、頭の中を突き抜けるシャウト。私ファンなの。」
「まだシュッツグル星とは交流はなかったと思うけど。」
シンが不思議そうに言う。
「アカシックネットワーク上にアップされているんだからやりようによってはいくらでもダウンロード出来てしまうよ。」
ラドが言う。
「第3種知性体以上になると多少のセキュリティは突破してしまうよ。だから条約で規定するんだよ。」
「何故今まで条約を結ばなかったの?」
シンの問いにリアンダーさんの横にいたアーフが答える。
面倒くさい回答はアーフがするんだね。
「連合が接触して来た時は我々は既に第3種知性体に進化していたので加入するメリットが見いだせなかったの、でも今回の件は条約でも結ばないと戦争になっちゃうからね。さすがに第2種知性体と戦争はしたくないわ。」
リアンダーさんが続ける。
「面白いこともあるしね。これからシュッツグルも変わる。長い長い退屈な停滞の時代が終わるわ。さっそくだけどあなた達ライブやらない?」
シュッツグル星人も道路を歩くといった習慣は失っている。
積み重なり林立する立方体のコンパートメントの間を短距離転移して移動する。
コロニー内では他の移動手段は必要がないようだ。
この短距離転移は自身だけではなくゲストも同様に移動させることが出来る。
パッと明るいところに転移する。
どうやらコンパートメントの中に入ったようだ。
外観よりも遥かに広い。
壁も天井も一様に白く光っている。
壁面照明なのかそういう素材なのかはわからない。
何にもないけれどこの星の紹介などは頭の中に直接ダウンロードされた。
高度な知性体では情報は直接脳内にインストールされ、食事は胃または血管内に栄養素が転送されることが多い。
ムダや不均一性、非合理性などを極端に嫌う傾向がある。
感情的なことは一切表すことがないのも傾向の一つだ。
だからエデンの文化の驚愕する。
初めは理解出来ずに呆然とするのだけれどまるで何万年も何世代もそのDNAの底に潜めていたものが爆発的に表層に現れて滂沱の涙を流したかと思うと大爆笑したりする。
感情が、情動が動き始める。
何のために生きているのかに急に気づいたかのように。
どうやらシュッツグル星人も少し前にエデンを知ってエモーションに覚醒してしまったようだ。