第39話  急襲1

文字数 1,638文字

BFK639星域 ブリクキア恒星群の12X66Y8L宙位でエデンの星間航行器シナイver.12.7が緊急停止した。

航行器が急停止した際に発生する慣性による破壊的な衝撃は器の防御システムによって緩和され感じる事すらなかった。

この航行器には過去の宇宙船の様にガスなどを噴出してその反作用で移動すると言った物理的な機能はない。

その昔に言われたワープ航法というのとも違う。

空間と次元と時間を移動するのだから似たようなものだけれどなんか違う。

空の星を見てその星が何万光年も離れた星なら今見ている星は何万年も昔の姿で今はもうそこにはないかもしれない、などと聞かされたものだ。

それだと超高速というか光を超える速度などでその星に移動できた場合なんかいろいろなパラドックスに陥ってしまうのでは?

と第5種知性体である地球の人間は思うのだが。

第4種知性体となった現在のエデン人にはすでに常識の知識になっている。

(地球はかつて星間連合の宗主国ヴァイでは辺境惑星ペコと呼ばれていたが現在では通称エデンと呼ばれるようになっている。
同時に当時地球人は第5種知性体だったのだけれど第2種知性体のヴァイ人の干渉で第4種に進化した。)

7万年前の第4種知性体であった惑星エグルルの学者ムデュリュピが発見した「ナメクジの耳理論」によって宇宙航行のいろいろな問題は解決されている。

それは時間軸と次元の突っ張り棒が空間のホタテの貝ひもに干渉することで鰹節系の出汁が抽出され、最初のあーっという歌いだしの音階に共振したーあーうー、なんだー。

くそー、第5種知性体の脳みそじゃ何のことか理解もできないし説明もできん。

とりあえず「なめくじの耳理論」えーっとインターコスモ語では「ミノフルピー航行理論」だったっけ。

まあそれで宇宙を移動している。

目的地の座標さえわかれば瞬時に移動できるしウラシマ効果などに悩まされることもない。

便利でしょ。

そうそう、この星間航行器シナイver.12.7は惑星エデン人が惑星ヴァイの第2種知性体の指導で作り上げた純エデン製モデルで普及型の汎用宇宙バスだ。

初代モデルから700年を経てバージョンアップしてきた。

シナイに搭載されたAIナビコがアナウンスを始める。

「コントロール系に外部から干渉を受けています。現在乗員を安全圏に転移させる機能も制限されていてお手上げ状態です。」

「連合への救難信号は発信することが出来ました。」

「ふーん、この器のシステムに干渉できるってことは第4種知性体以上の種族がこのへんにいるってこと?」

シンがつぶやく。

「この辺りだと連合に加入していない可能性が高いね。」

歌い手のリアリエは意外と落ち着いている。

もう長いこと宇宙を飛び回っていろんな星でライブをしてきたからね。

しかもリアリエは第3種知性体バッキュル星人なので感情を完全にコントロールできる。

見た目はエデン人と変わらないが3つの声帯があって右肺と左肺を個別に動かすことができる最強の歌い手だ。

「すぐに攻撃しないのはこっちに何か興味があるのかな?」

作曲と演奏を担当しているユキルがタブレットへの入力の手を止めずにつぶやく。

他にも作詞をするポリツや動画作成と作画をするピルウス。

コーディネーター兼スタイリスト兼コスチュームデザイナーのトリトス。

記録と編集ディレクターのグンタ。

振り付け師のウアウア。
などが同乗している。


そしてなぜかシンとラドも。

(ZZX295星系ソル恒星系文明レベル第4種知性体辺境惑星ペコ改めエデン。エデン統合政府首長シン-田延 伸・たのべ しん・小学5年生の不登校児童だったが星間通商連合の宗主国M76星団 ウリアレス恒星団、惑星ヴァイ統一国家の星間通商連合新規事業部開拓課課長ピータンに惑星ペコを代表する交渉相手として指名されて以来首長を務めている。)

(ラドは実は第1種知性体ではないかと思われている謎の存在。
今は女の子の姿をしてシンにくっついている。)


エデンの航行器といっても搭乗者の星籍はばらばらだ。














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