第42話 連合の介入
文字数 1,387文字
「ありゃ、移動した?」
エデンの星間航行器シナイver.12.7からの救難信号を受けて15分後には星間通商連合の宗主国M76星団 ウリアレス恒星団、惑星ヴァイ統一国家の星間通商連合新規事業部開拓課課長ピータンはBFK639星域 ブリクキア恒星群の12X66Y8L宙位にいた。
ピータンが乗器しなければ信号を受けて28秒後には到着していたのだけど連絡を受けた時はゲームが佳境に入ってやめられなかったし、でも他星の攻撃なんて面白い事は滅多にないので行かないわけにはいかなかった。
相手が第3種知性体シュッツグル星人と聞いて舐めていたのもある。
ヴァイ星人は第2種知性体なので通常で言えば第3種知性体などは相手にならない。
さらにシュッツグル星は連合非加盟だ。
単一の惑星人で連合に太刀打ちするほど馬鹿ではあるまいと考えていた。
シュッツグル星は現在の宙位から45光年ほどの距離。
位置はコスモエンサイクロペディアで検索、航行器のナビコに登録すれば一瞬で到達する。
「シンからシュッツグル星人と接触するって連合に申請が出ています。」
ピータンの航行器に同乗しているアーフが告げる。
「まあ、ラドもいるし確か第3種知性体の歌姫もいるから大丈夫じゃないかな?」
「艦はエデンの方に行ったようだな。あの指導者はパフォーマーだったのかな?すごく面白くてなんかうらやましかった。」
「あっちにはミルゥカ〈星間通商連合の宗主国M76星団 ウリアレス恒星団、惑星ヴァイ統一国家の星間通商連合新規事業部開拓課観光係主任ミルゥカ〉とキミちゃん帝王様〈アグウグ帝国帝王第4種知性体〉が行っている。
「クミーン、あんたぅこんなところにぃ来てぇ何してんのーぁぅ。」
「あれー。ミルゥカさん?なんで。」
「あんたぅ、ここぅ連合のぅ加入星ってぇ知らないのぅ?」
「えーこの星の航行器がBFK639星域 ブリクキア恒星群あたりを航行していたから探査してここに来たのよ。こんな星コスモエンサイクロペディアに載ってなかったわよ。」
「あんたぅ、連合にぃ入っていないからぅアップデートぅ出来てないんじゃないのぅ。」
「だいたいぅあのぅ宙域はぁ中立宙域だよぅ。」
「前のアップデートから6000年ぐらいしか経っていないよ。」
「ここはぅ最近ぅ加入したのよぅ。」
寿命があるかどうかもわからない長命種にとっては6000年はつい最近のようだ。
エデンも同様の種族になって徐々にそう言う時間感覚になっていくのだろう。
「ここの種族は独特で情動を形にして表現することに知的能力を消費するようだな。」
すでにクミンはわくわくしている。
「あんた、連合に入るか通商条約を結ばないとここのコンテンツは見られないわよ。」
「うーん、いくつかフリーのコンテンツは見たわ。」
「そんなもんじゃないのよぅ。食物やぁ衣料ぅ、住む所などのぅ生活のぅ全てにぃそのぅなんてぇいうかぁ感情ぅ?イメージぃ?何かぅよくぅわからないぃ概念ぅ?観念ぅのようなぅものがぁあってぇ、すっごくぅ面白いのよぅ。」
ミルゥカはどう表現していいのかちゃんと伝えてたくて身もだえている。
相手が加盟者ならダイレクトに相手の脳に情報をアクセスすればいいのだけど適切で制限内の言語にしなくちゃいけないのがもどかしいのだ。
「面倒くさくなって来た。もうどうでもいいから今からあんたの頭の中に条文をアップロードするから承認してしまいなさい。」