第38話  楽園への道

文字数 964文字

エデン製航行バス 「シナイ」の試運転が成功するとエデンは独自で星団間航行が可能になった。

宇宙中をネットワークするコスモネットがあるし、どことでも誰とでもメタバース上で会えるのでリアルで訪問する意味ってあるのかな?

でも、やっぱりアイドルやスポーツなどはリアルで、ライブでみたいって言う願望はあったんだ。

連合加盟の星々のエデンファンにとっては5000年の悲願が叶おうとしていた。

星団間航行を加盟の試金石とする連合としては自立開発で同じ舞台に上がってくる事が必要だった。

エデンに対しては進化の手助けや技術の開示などかなり優しかったけどね。

と言うわけで今までエデンでのライブに来てもらうか配信が中心だったんだけれどついに異星でのライブが可能になった。


「コスモツアーだー!」

まずはアグウグ帝国4298航行器内の72番惑星カプヒムのスーパーアリーナを皮切りに宇宙中を回る、2000年ツアー。

と言う感じでエデンのエンターティナーやスポーツマンが宇宙中に飛び出して行く様になった。

「エデンは、なんか特異な変化をする種族だな。」

ピータンが執務室と言う名の遊び場でアーフを相手に話しをしている。

「ピータンがそう仕向けたんじゃないの?」

「文明レベル第1種知性体だと思われていた『それ』が接触した人種があるって言う事が始まりだったんだ。」

「高度知性体でも自分達が将来的にどんな進化をするのかって事が一番の関心事なんだよ。そしてそのために何をすればいいのかって。」

アーフは記憶を辿る様に話し始める。

「エデンに接触するまでの連合に加盟していた高度知性体は効率と効果って言ってコスパばっかり考えてもっと冷静だったと思う。」

「情緒的な感情の揺らぎなどは無駄としか考えていなかったんだ。」

ピータンはうんうんとうなづく。

「そうだ、エデンは全然違う。くだらなくて、おかしくて、美味しくて、ワクワクする。」

「そんなことに一生懸命になる種族なんて他になかったんだ。」

「連合の全ての種族が、いや全宇宙がびっくりして、とりこになった。」

「たぶん、あれから宇宙は面白くなった。優しくなった。」

悠久の宇宙を見続けて来た『それ』が我々に示してくれたのか?

たぶん、きっと宇宙はもっともっと面白くなる。

退屈なんかしていられないね。

アーフはまるで心があるかのように、
にっこりと微笑んだ。

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