第9話:株で初利益と幸子の帰宅

文字数 2,587文字

 1981年も寒い年で灯油を頻繁に買った。寝る前には大きい湯たんぽ2つと幸子のために子供用の小さな湯たんぽに湯を沸かし暖かくして寝た。また外から帰ってくると必ず、うがい薬と手洗い、手の消毒用アルコールを使い風邪にかからない様、最善の注意を払った。その効果もあり今年の冬は家族全員、風邪にかからずに済んだ。長女の幸子は幼稚園で友達も出来て楽しそうに幼稚園に出かけて行った。

 やがて梅が咲き春めいた暖かい日が増え4月になり桜が咲き、5月の連休を迎えた頃、犬山重臣が以前、買った、ソニー株とトヨタ株が値を上げてきた。そして1981年5月8日にソニー株を2650円で4千株で売り638万円の利益を得て残金が918万円になった。5月9日にトヨタ株3千株で1000円で売り149万円の利益を得て残金が828万円になった。

 奥さんが、私、株投資やってる時間がないから残金の240万円、あなたの口座に移しておきますから利用してと言ってくれ240万円を送金してもらい合計1068万円になった。その後、日曜日、お弁当を持って電車で吉祥寺へ向かい、お腹の大きくなった犬山淑子と長女の幸子を連れて井の頭公園へ散歩に行き公園の池で幸子と一緒にボートにのると喜んでくれた。

 梅雨に入り雨の日続き梅雨が明けると暑くなり、お腹の大きな奥さんが汗びっしょりで、大変そうに家事をしていた。見かねて犬山重臣が早めに会社から帰り風呂を沸かし家事を手伝うと長女の幸子も洗濯物をたたむ手伝いをした。8月20日に産婦人科に行くと8月27日に、お産のために入院して下さいと言われた。そこで犬山重臣が8月27日、休暇届を出してタクシーで産婦人科へ必要な備品を持って一緒に行った。

 そして9月3日、元気な男の子を無事出産した。その後の検診で母子ともに健康で異常なく9月10日に退院した。最初は木下家をみてもらえると言う事で義理のお父さんとお母さんが産婦人科に自家用車で迎えに来てくれ長女の幸子も面倒を見ると言ってくれたので犬山重臣が
宜しくお願いしますと頭を下げた。誕生した男の子の名前を良い子に育つ様にと犬山良男と名付けた。

 その後、40日間みてもらって10月10日に帰って来た。すると出来るだけ家事を犬山重臣が手伝った。11月が過ぎ、12月になり寒くなったので再び暖かくなるまで木下家で預かると申し出てくれ、12月15日に淑子さんの両親が自家用車で迎えに来てくれた。12月24日にクリスマスパーティーに呼ばれていくと犬山良男も元気に、おっぱいを飲んで大きくなった気がした。

 淑子さんと幸子の部屋にはヨーロッパ製のオイルヒーターが置いてあり石油ストーブの様な臭いもなく、じんわりと部屋全体が暖かくなっていた。お母さんが、これだと空気も汚れないし健康的で良いわよと言った。しかし値段は随分高そうで一般庶民には買えない高価なものだ。やがて1982年を迎えた。

 その頃、トヨタ株が下がっていたので1982年1月6日、トヨタ株を1株555円で1.8万株、999万円で買い残金が69万円になった。1982年3月15日、やっと奥さんと長女、幸子が犬山重臣の住む社宅に帰って来た。1982年4月30日は近くの井の頭公園に出かけて池の周りや花を見て、長女の幸子は走り回って疲れて家に帰り風呂には行って夕食後、すぐ寝てしまった。

 夏は高尾山に行きケーブルカーで山頂に上がり山頂の景色を楽しんで昼食をとって長女の幸子は父と山頂付近を駆け回り美しい景色を写真に撮った。その後、ケーブルカーで降りて中央線で三鷹まで帰ってきて、幸子と犬山重臣は疲れたので早めに床についた。その後、特に大きな出来事もなく12月になり12月24日に奥さんの実家でクリスマスパーティーで美味しいケーキ鳥の丸焼きをいただいた。

 今年の出来事の話題で歓談して幸子と良男にクリスマスプレゼントをいただき帰って来た。やがて1983年を迎えた。1983年は風邪に気をつけていて風邪にかからずに済んだ。4月になると幸子が歩いて10分の三鷹小学校へ通うようになり3月18日に家族全員で学校見学に出かけた。小学校では集団登校するので集合場所と時間を教えてもらった。

 そして4月4日に両親と共に三鷹小学校の入学式に参加して犬山重臣が感慨深げに、ちょっと前に生まれたと思ったのに子供成長ってホントに早いねと言うと奥さんが、これから競争社会に入って大変なのよと言った。この頃には実家の方から多くの童話絵本や英語、算数、理科、社会の絵本が届き幸子もそれらの本を見て勉強し始めた。

 特に数字が好きで犬山重臣の血をひいたのか電卓を使い掛け算、割り算をして喜んでいた。またソロバンを見て父が使い方を教えると興味深げに見て1から10の足し算の練習から始めた。また弟の良男を、あやしたり、だっこしたり可愛がってくれて、お姉ちゃんとしての自覚が出て来たようだ。良男も、お姉ちゃんに、かまわれると喜んで、可愛い声で笑った。

 そして奥さんの実家の両親が車で買い物に来た時には良男の顔見たさにケーキ、お菓子、果物を持って訪ねてくれた。しばらく良男の顔を見て帰っていき、その度に多くの赤ちゃん用品を買ってきてくれるので大いに助かった。その中でも特に気に入っていたのが寿司屋で買ってきてくれる、たくさん入った寿司だった。この寿司を5人で、つまみながら歓談するのが淑子さんの最大の楽しみ。

 5月下旬には家族4人で電車で、お弁当持参で井の頭公園に行き乳母車で良男を連れて散歩し幸子は走り回って楽しんだ。やがて夏休みになると犬山重臣がソロバンの練習帳を買ってくると幸子が1週間もすると、全部、終えるので夏休み中に10級から初め5級まで難なく、こなしたのには、さすがの犬山重臣も驚かされた。夏休みが終わり小学校の運動会に家族で出かた。

 1年生の徒競走で走っている時の幸子は、いつもと違い真剣な顔つきで自分の番になってスタートしてトップになり、あと10メートルと言うところで隣の男の子に抜かれ2位なり、しょぼんとして帰ってくるのかと心配していたが、むしろ、逆で、悔しい、悔しいといいながら、歯ぎしりしている姿を見ると、おかしいやら頼もしいやら複雑な気持ちになった。すると淑子さんが私に似て、すごい負けず嫌いだわと笑いながら言った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み