第8話:7-11の新規公開株と奥さんの妊娠

文字数 2,354文字

 1979年5月20日、電話で奥さんのお父さんに電話を入れ新規公開株のもらい方について聞くと奥さんの犬山淑子にN証券に口座を作らせて新規公開株を手に入る確率を高めるしかないと言った。お父さんの作戦を聞くと私は証券会社10社に口座を持っていて手に入れやすいと言った。新規公開株を手に入れるには、どれだけ証券会社とのパイプが強いかと言うことなんだ。

 義理の父が多分、私は1人分のセブンイレブンの新規公開株を手に入れられるだろうが君たちだけの力では難しいと言った。犬山重臣が、そこを何とか、お願いしてみてくださいと言った。わかった最善を尽くすと言い明後日18時に電話をして来いと言ったので、わかりました吉報をお待ちしていますと言って電話を切った。5月22日、犬山重臣が義理の父に、電話をすると淑子に明日、午前10時にハンコを持って私の家に来るように言っておけと言われ了解した。

 翌日、犬山重臣が仕事を終え、19時に家に戻ると淑子さんが、今日、父と一緒にN証券へ行き、証券口座を開いた。そして。私の口座に500万円入金してくれたと話した。そこで、すぐ、淑子さんのお父さんに電話を入れると、できるだけの事はしたと言い、多分、2口は手に入るだろうと言った。実は、うちでも女房の女房の証券口座を作って同じようにしていると教えてくれた。

 証券会社も、商売と同じで、どれだけ食い込めているかは、こういう時にわかるのだと笑いながら言った。その後、セブンイレブンの上場が1979年10月15日、東証2部と決まり公募価格が1300円で、1000株単位で130万円となった。9月には義理の父、木下公彦さんの力で犬山重臣と淑子さんの名前で2口ずつ公募株を手に入れてくれた。

 犬山重臣の口座は残金が40万円だったので自分のお金を足して300万円にしておいた。数日後、公募株2千株で260万円支払い残金が40万円となった。奥さんのN証券口座は500万円から260万円支払い残金が240万円となった。1979年10月15日にセブンイレブン株の初値が1700円で同日の終値が1800円となった。その晩、義理の父に電話をしてお礼を言うとセブンイレブン株は当分、売るなと言った。

 朝7時~夜11時迄の営業時間で、高価格、高収益商品が売れ始めたら、きっと数倍、いや10倍以上の株価になると断言した。長女の幸子も話し始め、おしゃまな女の子に育っていた。今年も12月24日、奥さんの実家、木下家の盛大なクリスパーティーに呼ばれて可愛い、お人形さんをプレゼントされた。その後、クリスマスケーキと鳥の丸焼きを分けてもらって、楽しい一時を過ごした。そして1979年が終わり1980年を迎えた。

 1980年も寒く日本海側の大雪でストーブを手放せない。そんな2月2日、長女、犬山幸子が風邪を引いて熱が出て体調を崩した。すぐに小児科に行き薬を処方されたが患者さんが多くて母の淑子さんも小児科で風邪をもらってきて熱を出してしまい2月5、6日は、犬山重臣が仕方なく会社を休んで氷嚢を用意して長女、犬山幸子と奥さんの面倒を見ることになった。

 すると2月6日に長女、犬山幸子の熱が下がり風邪が治り、2月8日には、母の方も熱が下がり体調が回復した。3月になり暖かくなり、すっかり元気になった。しかし3月は経理の方が忙しくなり犬山重臣は毎晩、帰りが遅くなった。やがて4月になり長女、犬山幸子も幼稚園に入園する時期になった。

 自宅から徒歩10分の所に桜幼稚園があり淑子さんが3月20日に入園の手続きをしてきた。帰って来て夕飯をとった後、急に気持ち悪いと言い、食べたものを戻した。犬山重臣が体調を崩したのかと心配したが奥さんが大丈夫と言った。翌日、犬山重臣が仕事から帰ってきた19時に奥さんが笑顔で玄関に迎えに出ると、
「うれしそうに出来たのよと言うので何がと言うと、鈍感ね、赤ちゃんが出来たのよ」と、うれしそうに言った。

 今日、気になるので母と一緒に産婦人科に行って調べてもらった所、妊娠していることがわかったと言い今年の10月4日が出産予定だと話した。今週の日曜日、みんなで奥さんの実家に挨拶に行こうと言うので了解した。日曜の10時に奥さんの実家に行くと、義理の父が良くやったと奥さんの頭をなでると、奥さんが、うれし泣きした。

 すると、母が、あなたを産んだ時を思いだしたと言い難産だったのよと言いながら、そんな小さかった淑子が2人も子供を産むなんてと感慨深げに言ったと思うと泣き出した。これを見ていた義理の父と犬山重臣は2人をなだめるのに苦労しているのを見て幼稚園に入ったばかりの犬山幸子が、おかあちゃんとおばあちゃん、何で泣くのと、きょとんとした目で見た。

 その時、義理の母が、あまりうれしすぎると泣きたくなるのよと説明すると、そーなんだと妙に納得している姿を見て、みんな笑顔になった。そして、お祝いに赤飯を炊いて、お祝いをしてくれた。そうして、幸子の、おばあちゃんが幸子に、あんた、お姉ちゃんになるのよと言うと、「うれしそうに、私、赤ちゃんをうんと、可愛がってあげるんだ」と無邪気に言ってくれた。

 その姿を見ていた犬山重臣は、
「しっかり頑張って、働き、稼ぎ、子供達にしっかり教育を受けさせよう」と心に誓った。
そして家に帰ろうとした時に義理の父が犬山重臣に、出産祝いだといって祝儀袋を渡してくれ、
「頑張って女房、子供を守ってやれよ」と、肩をたたいた。

 帰って祝儀袋を開いてみると50万円が入っていた。その後、12月のクリスマスパーティに招待され、除夜の鐘を聞き、1981年を迎え、近くの神社に初詣に行き、家内安全と投資の成功、子供を無事出産する事と幸子の健やかな成長を祈願した。
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