第16話:義理の父・心筋梗塞と脳梗塞

文字数 2,156文字

 その後、看護婦さんが説明に来て心筋梗塞の手術を始めたが血栓が、頭に飛び、脳梗塞も起こして脳神経外科の先生が入室して頭の手術も始めたと言われ、奥さんが、それを聞き、へたり込んでしまった。詳しい説明は私か聞いておきますと言い、奥さんに母を別の所へ連れだした。15分後、奥さんと義理の母の所にやってきた犬山重臣は冷静さを装っていたが額に汗を滲ませていた。

 それを見て義理の母が、お父さんは助かるのと聞いた。その質問に対して犬山重臣が、いや、まだわかりませんと小さく答えて、ただ最善を尽くしてますとだけ言われたと言い、現在の状況だけ詳しく知らされたと言った。その話を、ゆっくりとした口調で、わかりやすく奥さんと義理の母に説明し始めた。最初に心臓に血を送っている血管が詰まったので、その詰まりを取るために手術を始めた。

 しかし1時間程して今度は脳血管が詰まったのがわかり脳神経外科の先生が脳梗塞の手術を始めたと言う事まで説明されたと伝えた。ですから、今後、助かるかどうかは、まだ不明だそうですと言った。その後2時間して心臓の手術は成功したと連絡が入り、その1時間半後、脳神経外科の先生が来て命は助かりましたと言った。しかし入院が長引くと言い退院後も手足の麻痺が残るので頻繁にリハビリに通院していただく事になりますと説明した。

 ひとまず命が助かっただけでも良かったと犬山重臣言うと今後、私はどうしたら良いのと、義理の母が途方にくれたので娘の淑子さんが私が父に付き添ってあげると言った。そして午後14時に集中治療室に3人で義理の父、木下公彦さんの見舞い行くと上手に話が出来ずに、だた笑顔を浮かべた。看護婦さんが左半身に麻痺が残っていて上手に話すことが今、出来ませんが血管のつまりは取り除いたので安心して下さいと言った。

 今後、どれだけ回復できるか長期にわたるリハビリが必要になりますと言うので、どの位ですかと聞くと詳しい事は、やってみないとわからないと言うのが真実ですと言った。この話を聞いて奥さんの木下貴子さんが泣き出したので直ぐに病室を出た。病室を出た後、犬山重臣が、おかあさん、さぞかし辛いでしょうけれど命が助かっただけでも良かったと考えましょうよと優しく言い、退院後、リハビリを頑張りましょうと伝えた。

 さっき看護婦さんに話せるようになりますよねと聞いたが詳しい事は先生でないとわかりませんが話せなくなったと言う事例は聞いた事がないので、まず安心して下さいと教えてくれた。みんなで出来るだけ快方に向かうように努力していくしかないと勇気づけるように言った。手術して2週間後の1992年の11月3日に集中治療室から一般病棟に移され、毎日、左半身麻痺のためのリハビリを受けた。

 病室にお見舞いに行くと今迄みたいに早口で話すことは出来ないが、ゆっくりとした口調で、話せた。以前の生気あふれる姿はなく、やつれた感じはぬぐえなかったが血色も良くなり食事もとれた。担当の看護婦さんが麻痺が右側でなくて良かったですねと、そっと言った。右は利き手で何をするにも使えないと困り左側の麻痺なら右とのバランスをとれれば、日常生活をする上で大きな障害にならないと教えてくれた。

 その後、1992年11月20日に救急車で運ばれてから、1ヶ月後、退院となった。しかし毎週3回のリハビリ通院を余儀なくされて奥さんの貴子さんと娘の淑子さんが交代で付き添って通院することになった。 そう言う事で1992年のクリスマスは犬山重臣の家で家族4人で、ケーキとケンタッキーフライドチキンを買い質素なクリスマス・パーティ-となった。

 やがて1992年が去り1993年を迎えた。犬山家では初詣で最初に義理の父の木下公彦さんの病気が治りますようにと願い、続いて、幸子と良男の未来に幸あれと願い、家内安全、無病息災をお願いしてきた。昨年末から幸子が父の株の本を読んで今迄の株の売買のデータと持ってる会社の業績を調べた。経済は思っていた程、簡単じゃないと、驚いていた。

 そこで父の犬山重臣が世の中のお金の回り方や銀行がどうやって、お金を儲けているか日本の優良企業の情報を調べて、その仕組みを知るとかが基本だから、それを最初に勉強すべきだと言った。その後、中学の政治経済のわかりやすい本で図解で書いてある経済の本を読んで必要なところをコピーして自分でわかる経済のノートを作成した。

 4月頃には基礎的なことは理解したようで祖父から預金金利と物価上昇で投資の必要性を説明されたことを、やっと完全に理解できた。その他、数学の統計と表、グラフの見方も復習した。そうしているうち、高校2年生になり、1学期の試験でクラス52人中20番まで順位を上げたがベストテンに入りたいと夜遅くまで勉強していたが国立高校には優秀な生徒が多いのか、順位を上げられないで困っていた。

 最近は勉強で忙しくなってアメリカ人とハーフの友人には3ケ月に1度、程度しか会えなくなった。5月下旬の1学期の中間テストで52人中15番になったが、なかなかベストテン入りが出来ずに悩んできた。父に相談すると自分が努力して出た結果は正直だと良い順位だけでなく、その教科の内容をどれだけ理解できたかを考えるべきだと言われた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み