第197話 夜とぎのマドレーヌ
文字数 308文字
先日、朝日新聞社の「世界名画の旅」を開いてみた。
何年か前、古本屋で見つけたもの。
その中にラ・トゥールの「夜とぎのマドレーヌ」という作品がある。
暗闇の部屋、机上にろうそくが一本。
淡い光に照らされて、頬杖をつき、女が一人その光を見つめている。
その膝には髑髏 が。
丸い、物言わぬ髑髏に、やさしく撫でるように手を添えている。
いい絵だ。
「女占い師」という絵も載っていた。
どちらの絵も、時間が止まっている。人物は、何も喋っていない。
一瞬と永遠
沈黙と雄弁
静謐と喧騒
相対するものが一つになって。
相対するものなど、あったんだろうか。
なかったんじゃないか。
対立するものなんて。
そう思わされる。
いい絵だ。
何年か前、古本屋で見つけたもの。
その中にラ・トゥールの「夜とぎのマドレーヌ」という作品がある。
暗闇の部屋、机上にろうそくが一本。
淡い光に照らされて、頬杖をつき、女が一人その光を見つめている。
その膝には
丸い、物言わぬ髑髏に、やさしく撫でるように手を添えている。
いい絵だ。
「女占い師」という絵も載っていた。
どちらの絵も、時間が止まっている。人物は、何も喋っていない。
一瞬と永遠
沈黙と雄弁
静謐と喧騒
相対するものが一つになって。
相対するものなど、あったんだろうか。
なかったんじゃないか。
対立するものなんて。
そう思わされる。
いい絵だ。