第164話

文字数 973文字

 なぜネットに文章を書き始めたのか? そして今も?
 一種の成功体験、あの時間をもう一度、という「追体験」を求めたんだと思える。
 れいのブログ、それなりにキツい自動車工場の二交代勤務、やりながら、とにかく書き続け… それなりに読まれ、それなりにいろんな人と実際に逢い、何としても楽しかった。充実していた。

 しばらくネットから離れて生活に埋もれ、いよいよブログが他のSNSに押しやられ、お、投稿小説サイトってのがあるのか、と心トキメいた。
 見れば、異世界だの転生だの、わけがわからなかった。なんか違うなぁ、と思いながらも投稿を続け、毎日PV数やらいいねの数に心捉われるようになった。毎朝、数字を見ることから一日が始まっていた!

 そんな異世界サイトでも、読者がいてくれることが嬉しかった。コメントでやりとり。
 出勤前に、一喜一憂、数がかなり増えたりコメントが来てたりすれば、妙な自信をもって職場に向かった… 労働は仮の姿、ホントは書くのがオレの仕事、とさえ思って。
 人に恵まれてきたんだと思う、ネットの世界でも。あの大所帯「小説家になろう」でも、素敵な交流ができたと思う、今も元気でいらっしゃるか… いや、ほんとにありがたかった。

 しかし何か圧倒的な「異世界」の強さ、アニメ的な、なんだこりゃ感には、いつも胸がもやもや、尻がむずむずした。文学なんてよくわからないが、それ的でない世界… えっ、今こんなんばっかなの?の異和感… そんな中で「ノベルデイズ」は自分にはしっくり来た。まじめな人が書いている印象、まじめというのもよくわからないが、ここに投稿するぶんにはわだかまりがなかった。

 あっというまに三年が過ぎ、今は文体を変えること、「こんなこと書いちゃ…」という自分で自分を制限するようなことをやめ、直情的に書けたら、と勝手にテーマを決めて続けている。
 人の心に行くものは、論理でなく美辞麗句でもなく、情的な、情熱的で熱狂的な、ほとばしり出るようなもの、なにしろ言葉がヨロイのようなものだからこいつをなるべく剥ぎとって、情的なものに近づく、ちょっとした挑戦…。
 そのうち消えていくだろうが、それはそれでよし。そこから始まるのかもしれない。
 今日も今日とて、また一日が始まる! 今以外に何がある、今はどこにある、働け働けクソ野郎、自分自身の奴隷になって!
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