負けるな! ライダー!

文字数 2,498文字

(お題コミュで書いたものです、お題は ①氷 ②パズル ③海辺の小屋 でした。 前回、河原のシーンで終わってしまっていたので、海辺の小屋は難題でしたw)

         『負けるな! ライダー!』

「う、まぶしい、まぶしすぎて何も見えない」
「わはは、複眼の貴様はこの輝きに耐えられまい」
「き、貴様は一体……」
「我こそは3300年の眠りから甦りし……ツタン仮面だ!!!!」


 仮面ライダーの眼は複眼である、一度に大人数の戦闘員に囲まれても全てを把握できる、しかし、意外な弱点を突かれた。
 ツタン仮面の黄金のマスクはまぶしい輝きを放ち、ライダーの眼を眩ませる。

「今だ、ツタン仮面、ライダーを地獄に送ってやるのだ!」
「イーーーッ!」
 ツタン仮面が『?』形の杓を振ると、ビームが発射される。
「うわっ!」
 ビームはライダーの胸の強化筋肉に命中し、さしものライダーも吹っ飛ばされる。
 危うし!ライダー!
 と、その時だった。
「待てっ!」
「き、貴様は、ライダーマン!」
「私の目は複眼ではないぞ、目眩ましは効かない!」
「待て! ……おかしいではないか、貴様はV3後半からの登場のはず、なぜ2号を助けに来るのだ!」
「知ったことか、作者に聞け」
「おい、こら! 作者! 時系列はきちんと守れ!」
「だって、今は2016年ですから」
「うっ……」
「ははは、一瞬で論破されたな、死神博士!」
「いや待て! 矛盾があるぞ、今が2016年ならば、私は生きてはおらんはずではないか! 第90話で爆死するシーンが描かれている、この矛盾をどう説明する? 答えよ! 作者!」
「…………」 ダッ。
「あっ! 待て! 逃げるな作者! ツタン仮面! まず奴から血祭りに上げろ!」
 ツタン仮面が杓を振り上げる、 危うし! 作者!
 このノベルはここで終わってしまうのか?

 その時だった。
 シュルシュルシュル!
 ライダーマンのロープアームがツタン仮面の杓を封じた。
「しまった! おい! ライダーマン! 論理を実力行使で封じるとは、ヒーローとしてあるまじき行為ではないかっ!」
「黙れ! この世に悪が栄えた試しなし! 問答無用だ!」
 ライダーマンはロープを手繰り、ツタン仮面の杓を奪う。
「しゃらくさい! ツタン仮面にはまだ武器があるわ!」
 ツタン仮面が右手を前に突き出すと、包帯が飛び出し、ラーダーマンの動きを封じた。
「しまった! ライダー! こっちを向いてくれ!」
「おうっ!」
「アタッチメントアームの新兵器、塗装スプレーアームだ、少し汚れるが我慢してくれ!」
 ライダーマンの塗装スプレーアームからクリア・ブラックの塗料が噴射され、ライダーの目に塗装を施した。
「おおっ! まるでサングラスだ、これなら眩しくないぞ! ツタン仮面! 覚悟しろ!」
「待てっ! ライダー! これを見ろ」
「何っ!? それは……iPadか?」
「そうだ、今が1972年ではなく2016年であるならば不自然ではあるまい」
「あっ……エミちゃん!」
「わはは! もはや、ちゃん付けするほど若くはないがな、しかも今は要人の夫人でもあるぞ」
(作者注:エミを演じた高見エミリは、鳩山邦夫衆議院議員の夫人である)
「しまった……油断した……死神博士、エミちゃ……いや、エミさんをどこに隠した!」
「その質問に答えるとでも思うか? 愚かな! 海辺の小屋の中だとだけ教えてやろう」
「エミさん……まるで凍り付いているようだ、死神博士、彼女は生きているんだろうな!」
「当然だ、殺してしまっては人質の価値がなくなるからな、彼女は我々の技術で冷凍した、
見ろ! 彼女を吊るしたロープには爆薬が仕掛けてある、このリモコンで点火すれば、彼女は床に落ちて粉々に砕け散るわ! ツタン仮面! ライダーを血祭りに上げろ!」
 ツタン仮面の杓はもう一本ある、左手に持った采配のような杓を振ると、房の一本一本がキングコブラに姿を変え、ライダーに襲い掛かろうと鎌首を擡げる。
「わはは! 手も足も出まい、ライダー、ここが貴様の墓場となるのだ!……何っ!?」
 その刹那、死神博士の手からリモコンが弾き飛ばされた。
 ライダーマンが包帯に縛られながらも、体の向きを調整し、塗装スプレーアームの威力を最大にして噴射、見事に死神博士の手首に命中させたのだ。
「ライダー! 今だ!」
「よしっ! とおっ! ライダ~~~~~キィック!」
「ギャァ~~~~~~~~~~~~!」
「ああっ、ツタン仮面!」
「死神博士、今度こそ覚悟しろ!」
「ふふふ、追えるものなら追ってみろ、そのリモコンは時限式になっているのだ、あと30秒でエミは粉々だ!」
「何だと!?」
「次こそ貴様の息の根を止めてやる! ひとまずさらばだ!」
「待てっ! 死神博士!」
「ライダー! 確かに時計の音がするぞ! 今時珍しいアナログクロックだ」
「そうか! エミさんを救い出すのが先決だな……うっ……これは、ルービックキューブ?」
「中から秒針の音がしている、おそらく面を揃えないと開かない仕組みだ」
「しかし……ルービックキューブは苦手なんだ」
「私は右手を使えない、しかし、子供の頃、これは得意だった」
「そうか! ライダーマン、指示してくれ! 私が君の手となろう」
「ああ! 協力してエミさんを助け出すんだ、まず真ん中の黄色を……」

 残り10秒……
「四面揃ったぞ! あと少しだ」
 残り5秒……
「よし! 最後のアクションだ! 開いた!」
 5……4……3……2……。
 カチッ!
「ふう……間に合ったぞ、ライダーマン、ありがとう」
「水臭いぞ、ライダー、共に悪と戦う仲間じゃないか」
「ああ、君の頭脳と機転に助けられたよ、ライダーマン、握手してくれ」
「その前にこの包帯を解いてもらえるか?……」
「ははは、私としたことが……」


 ライダーマンのおかげで無事に危機を脱したライダーは、ライダーマンとがっちり握手を交わし、共に戦い続けることを誓うのであった。
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