決意も新たに! ライダー!

文字数 7,964文字

(この辺り、思いつきでフー・マンジューを登場させた事で晴子の出番が増え、ライダーの影が薄くなっていますねw)  

         『決意も新たに! ライダー!』

「みんな、ショッカーが現れた、出動してくれ……」
 おやっさんがライダーチームのアジトになっている、スナック・アミーゴの二階に上がって来た、だが、ちょっと様子がおかしい。
「どうしました? おやっさん、いつもなら勢い込んで駆け上がって来て『出動してくれ!』って叫ぶのに、体の具合でも?」
 ライダーチームきっての頭脳派・ライダーマンこと結城丈二は医師の友人も多く、医学的知識も豊富、まずそっちへ頭が回るらしい。
「いや、そうじゃないんだ、ただ……」
「ただ?」
「現れた怪人は一体じゃないんだ……」
「束になってかかってきたって、俺達はひるみませんよ!」
 パワーファイターで格闘の天才・仮面ライダーマッスルこと納谷剛が胸を張る。
「それがだな……かっぱ男、ツタン仮面、プラナリアン、ガマ男、かまきり夫人、それにモグラ男、全部で六体なんだ」
「それって、全部われわれが倒した怪人ばかりじゃないですか、一体どういうことなんですか?」
「ライダー、俺にもわからないんだ、フー・マンジューの仕業じゃないかと思うんだが」
「おそらくはそうですね……だったらあたしがお役に立てるかも」
 最も新しい仲間、安倍晴子、またの名をアベノセイコ、安倍晴明の血を引く陰陽師だ。
「そうね、お願いするわ、あなたの身は私が守るから安心して」
 納谷剛の愛妻・納谷志のぶ、またの名をレディ9、代々受け継がれる忍術を操るくの一の末裔、しかも結城の科学力を以てその能力は最大限に生かされている。
「みんな、頼んだぞ、だが、くれぐれも油断のない様にな、フー・マンジューはどんな魔術を使っているかわからないからな」
「「「おう!」」」
「「はい!」」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


 フー・マンジュー、かのフー・マンチューの弟子と自称しているがそれはどうも眉唾物、だが、怪しげな魔術を操ることは確かだ。
 東京ディズニー・シーでの戦いにおいては、魚河岸で購入したスルメイカを伝説の巨大イカ・クラーケンに仕立て上げてディズニー・シーを大混乱に陥れた実績もある。

「なんらかの魔術で死者を蘇らせているんだろうか?」
「いや、中沢は……いや、モグラ男は自爆装置で木っ端微塵に飛び散ったんだ、蘇ったとは考えにくいな」
 モグラ男の改造前の名前は中沢、まだショッカーに勤務していた時代に目をかけていた部下だったこともあって、マッスルは彼の死には心を痛め、自爆に追い込んだ死神博士を許さないと心に決めている。
「それを言ったらかっぱ男は俺が食っちまったからな、あとかたも残ってない筈なんだが」
 かっぱ男はきゅうりの香りを放つ怪人、バッタのDNAを持つライダーをその香りでおびき寄せ、怪力で川に引きずり込もうとしたのだが、ライダーの噛みつき攻撃で倒されたのだ、しかも勢い余ってライダーが残らず平らげてしまったはず。
「ガマ男は四方を鏡で囲まれて、脂汗の流しすぎで干からびたが……何らかの方法で蘇生されたのかもしれないな」
「プラナリアンも可能性はあるな、分裂しすぎで小さくなった所を子供たちとの連携で踏み潰したが、もしかしたら生き残りがいたのかも」
「かまきり夫人は崖下に転落したが……生死は確かめていないな」

 ライダーたちはそれぞれのマシンで現場に急行中も無線で連絡を取り合う、それをレディ9が操るOn×3(オンミツ)号のタンデムシートで聞いていたセイコ。
「おそらく、個々の怪人にそれぞれ別の魔術をかけたとは思えない……人海戦術的な何かだと思う」
「何にせよ、行ってみなきゃわからないってことよ! みんな! 急ごうぜ!」
 マッスルの勢いの良い言葉に、四台のライダーマシンは更に加速した。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「わははは! ライダーども、雁首揃えてやられに来たアルか?」
 六体の怪人を前に並べ、フー・マンジューは一段高いところで高笑いだ。
「フー・マンジュー! 貴様が何をしたか知らないが、この世に悪の栄えたためしは無い!」
「ははは、そんなのは甘っちょろい戯言アル、この世を制するのは力と数アルヨ、こいつらを倒してから吼えるアル、もっとも、それが出来るならの話アルがな」
「出来るか出来ないか、高みの見物でも何でもしていろ! 最後に吠え面かくのはお前だ! 来い! かっぱ男、お前は俺の栄養になったはずだ、とぉっ! ライダー・パンチ! な……何?」
「ふふふ……どうしたアルか? ライダー、ちっとも効いていないみたいアルが?」
「なんだ、この手ごたえのなさは……」
「プラナリアンと同じ衝撃吸収体なのか?」
「いや、あんなにプュニュプニュはしていない、簡単にへこむんだがすぐに戻るんだ」
「こっちはどうだ? 中沢……じゃなかった、モグラ男、恨むなよ、食らえ! ウエスタン・ラリアット! わ、確かに手ごたえがない、まるで空振りだ」
「ツタン仮面、貴様がいる事はわかっていたからな、ライダーマン・マスクはサングラス仕様にして準備して来た、黄金の目晦ましは効かないぞ、とぉっ! う、確かにこれは……そうか、この手ごたえは……」
「何かわかったのか? ライダーマン!」
「こいつら、ソフビ人形だ」
「あの子供の玩具のか?」


「わかったわ! フー・マンジューが使っている魔術が」
 戦闘の矢面には立たず、少し引いた岩陰から見守っているのはセイコとレディ9。
 身体的には普通の人間に過ぎないセイコの身の安全を守りつつ、フー・マンジューの術を見破って対策を立てようという作戦だ。
「どういうこと?」
「ソフビ人形は市販の玩具と同じ、メーカーに等身大の人形を作らせたに過ぎないわ、おそらくはメイド・イン・チャイナの」
「だったら動いてるのはなぜ?」
「降霊術よ、フー・マンジューはそれぞれの霊を呼び寄せて人形に宿したのよ」
「だけど……ソフビ人形じゃ戦闘力はほとんどないんじゃない?」

 三人ライダーも当然レディ9と同じ事を考えた。
「ソフビ人形だったら脅威ではないな、多少闘い難いだろうが……フー・マンジュー、こんな物で我々に勝てると思っているのか?」
「わかってないアルな、かまきり夫人、やるアル」
「いちいち言われないでもわかってるわよ、シャァッ!」
「うっ、マフラーがスッパリと……鎌は本物か!」
「やっとわかったようアルな、それぞれの武器は本物アルよ、その上肉体はないからダメージは与えられず、疲れ知らずで痛みも感じないアルよ」
「うっ! 皿手裏剣か!」
「くそっ! キングコブラ攻撃ができるのか!」
「しまった! 再生能力を備えていたとは!」
「うぐっ! 至近距離からのぶちかまし、効くぜ!」
「しまった! 長い舌でアタッチメントアームを封じられた!」
 ライダーたちは苦戦を強いられる。


「セイコちゃん! 何か打つ手はない!?」
「あるけど……それにはこの場を離れないといけないの、このままじゃライダーたちが危ないわ、加勢しないと」
「大丈夫、簡単にやられる様な人たちじゃないわ、それにダーリンとはテレパシーで繋がってるから戦況はいつでも伝わる……どうすれば良いの?」
「一番近くの仏具店へ」
「仏具店? 理由はわからないけどあなたを信じる、後ろに乗って!」
「ええ! 急ぎましょう!」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「すみませ~ん、お店の方、どなたかいらっしゃいませんか!」
「はいはい、いらっしゃいまし、何をお探しでしょう……おや? こいつは驚いた……レディ9がどうして仏具屋に?」
「説明は後、おじいさん、とにかくお線香が沢山欲しいの」
「お線香はこちらで」
「もっとないかしら? なるべく沢山欲しいんだけど」
「ありますとも……ほれ、ダンボールひと箱まるまる」
「良かった! 全部下さい!」
「はいはい、ありがとうございます」
「あ……いけない……お財布持ってないわ、セイコちゃんは?」
「あっ、あたしもハンドバッグ持たないで出ちゃった」
「お金がない?……う~ん、でも世界平和が脅かされてるということですかな?」
「そうなの!」
「だったら……え~い! 持ってけ、ドロボ……じゃなかった、持ってけ、正義の味方!」
「おじいさん、団扇も要るの」
「団扇? だったらこいつを一束まとめて持って行けぃ!」
「ありがとう! おじいさん! 恩に着るわ」
「何の、この老いぼれが世界平和のお役に立てるなら安いもんじゃ、冥土への良い土産話になるじゃろうて」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「良かった、まだ闘ってる! 誰も倒されてないわ」
「でも一体も倒せてはいない、押され気味ね! セイコちゃん、これをどうすれば良いの?」
「全部火をつけて!」
「よし来た、火遁の術!」
 レディ9が線香に向かって火を吹くと、セイコは団扇で扇いで着火を確実にする。
「今よ! 風を起こして!」
「わかった! 忍法・つむじ風!」
 たちまちあたりは線香の香りと煙に包まれた。

「こ、これは……線香の煙アルか!」
「そうよ! もっと燻すわよ!」

「う……あ……」
「インキズニー!」
「グニョ?」
「ぐぇ」
「何よ!」
「うわっ」

「これは! 怪人の動きが止まった! なにやら苦しんでるぞ」
「線香の香り? これは一体……」
「セイコちゃんだな? マンジューの魔術を見抜いて対策してくれたんだ!」

「い、いかんアル、かっぱ男!」
「へ?」
「ツタン仮面!」
「アイワ!」
「プラナリアン!」
「ぐにゃ?」
「ガマ男!」
「ぐぇ?」
「かまきり夫人!」
「何よ!」
「モグラ男!」
「へい!」

「これは? マンジューのひょうたんの中になんだか白い煙のような物が吸い込まれて行くぞ!」
「おそらくは返事をしたからだ!」
「なんだか見たことがあるような……」
「西遊記だ! 金閣・銀閣のひょうたんだ」
「う~ん、そこはさすがに謎の中国人だな」
「だが、吸い込まれたのはなんだ? 実体は残ってるぞ」
 すかさずセイコが叫ぶ。
「ライダー、ライダーマン、マッスル! フー・マンジューが吸い込んだのは怪人達の魂よ!」
「魂?」
「多分、大量のお線香であの世から呼び戻したのよ、お線香にはこの世とあの世を繋ぐ効果があるの」
「なるほど、今度はこっちから線香を焚いたから魂が天に還りそうになったのか」
「あっ! フー・マンジューが逃げるわ!」
「「「させるか!」」」
 戦闘員が運転するジープに飛び乗って逃げるフー・マンジュー。
 そしてライダーチームはそれぞれのマシンに跨ってそれを追った。

(後編に続く)




「もっと速く走れないアルか! 追いつかれるアルよ!」
「これでアクセル全開です!」
「あっ、あれは何アルか?」
「あれは高徳院阿弥陀如来座像、俗に言う鎌倉の大仏です!」
「あれを使うアル、車を止めるヨロシ!」
「使うって……罰が当りますよ!」
「日本の仏教は中国伝来よ! 中国人の為に使うなら罰なんか当らないアル!」
「そ、そんな無茶な……」
「いいから車を止めるアル! さもないとワタシが罰を当てるアルヨ!」
「は、はい」

 ジープから飛び降りたフー・マンジューは大仏によじ登ると、鼻の下でひょうたんの栓を抜いた。
「お前達! 今度はこれに宿るアル! ライダーどもを踏み潰すヨロシ!」

 ゴゴゴゴゴ……。
 重々しい音を立てて大仏が立ち上がった。

「な、何だ! あれは!」
「大仏が動いている!」
「もちろんフー・マンジューの仕業よ! あれだけの巨体を動かすには六柱の魂全部が必要な筈!」
「むしろ敵が一体にまとまってくれたんだ、好都合じゃねぇか」
「しかし、マッスル、大仏を相手に闘うというのか?」
「うっ……確かに……重要文化財だしな」
「来るぞ!」
 大仏の足払い、一見動きはゆっくりだが巨大な分実際のスピードは速い、ライダーたちの身体能力をもってしても避けるのが精一杯。
「参ったな、どうやって闘う?」
「とにかく止めるしかないだろう? 俺がやってみる」
「あ、待て、マッスル! 無謀だ!」
 走り寄るマッスルに大仏の正拳突き降ろし!
「きゃぁ! ダーリン!」
「マッスル~ッ!」
「見ろ! なんて力だ、受け止めてるぞ!」
 マッスルはその正拳を頭上で受け止めて耐えていた。
「ぐ……くそ~!」
 ズン!
 かろうじて正拳を受け流して潰されずに済んだものの、マッスルは瞬時に持てる力を使い果たして膝をついてしまう。
「こうなったら仏だ重文だなんて言っていられない! ライダー・キック!」
「レディ9、早くマッスルを……フックアーム!」
 ライダーとライダーマンが奮闘して大仏を止めている間に、レディ9とセイコはマッスルを物陰に引きずって行った。
 
「くそっ、クッシーの比じゃないぜ……もう大丈夫だ、ライダー達と一緒に闘わなければ」
「待って、マッスル、あなたはあの中の一柱と知り合いだったわよね?」
 セイコが真剣な表情で尋ねる。
「ああ、元部下だった中沢と言う男だ、モグラ男に改造されて記憶もなくなっていたようだが洞窟での闘いで自爆させられる時、俺とライダーが爆発に巻き込まれないように自分で洞窟の入り口を塞いでいた岩にもぐりこんで、逆に岩を砕いて助けてくれたんだ、あんな良い奴をあんなふうに使って死なせた死神博士を俺は許さない」
「外科手術的に記憶を消されていても心は残っていた……彼の魂に働きかけて大仏を止められるかも」
「え? それはどうやって?」
「レディ9、お線香は残ってない?」
「一束だけ燃え残ってるけど……」
「それで十分」
「どういうこと?」
「説明は後よ、マッスル、今、中沢さんの魂とあなたの魂を繋げるから、語りかけてみて」
「だが、俺は闘わないと」
「ううん、大仏を止められるのはあなたしかいないの!」
「わかった……中沢に語りかければ良いんだな?」
「今、繋げるわ……レディ9、お線香に火をつけて」
「ええ……はい」
 セイコがそれを片手に、呪を唱えると、煙は生きているかのようにマッスルの体に巻きつくと、更に大仏の鼻へと伸びて行った。
 まるでマッスルと大仏が煙の紐で繋がれたかのように……。

(中沢、中沢、そこにいるのか? いたら応えてくれ、俺だ、納谷だよ、おい、中沢、中沢……)
(……せ……ん……ぱ……い?)
(中沢! 聞こえたのか、洞窟では助けられたな)
(そんな……こと……)
(中沢、お前は本当は心のまっすぐな男だ、フー・マンジューの、ショッカーの思い通りに動かされて良い男じゃない)
(せん……ぱい……)
(今、お前と一緒に大仏を動かしているのは俺たちが倒した怪人、心までショッカーに支配されていた怪人だ、お前は奴らとは違う)
(……)
(頼む、大仏を操るのはやめてくれ、お前の力でそれが出来そうか?)
(……やって……みます……)
(そうか! 俺に何か出来る事はないか? 何でもするぞ)
(このまま……おれと……つながって……きあいをいれていて……ください……)
(わかった! 中沢、頼む、お前が頼りなんだ!)
(う……おぉぉぉぉぉ……)

「どうなってる? 大仏の動きが……」
「ああ、両手両足の動きに統制が取れていない、バラバラだ」
「ライダー! ライダーマン! 出来るだけ大仏を元の位置に!」
「セイコちゃん! これは一体?」
「説明は後よ! 出来るだけ元の形に」
「わかった! ライダーマン!」
「おう! ライダー! 行くぞ!」
「ライダー・キック!」
「ロープアーム!」

 動きがばらばらになった大仏はよろよろとよろけ、元の台座にずしんと尻餅をついた。

(中沢! 頑張ってくれ! もう少しだ!)
(うおぉぉぉぉ……)

「ライダー! 君は右手を! 私は左手をロープで止めておく」
「わかった! ライダー・パンチ!」
「やった! 大仏はこれで元通りだ!」

(中沢! やったぞ! お前のおかげだ! おい、中沢、聞こえてるか? 中沢、中沢!)
(せん……ぱい……ありが……とう……ござい……ます……)
(何を言ってる? 礼を言うのはこっちだ……中沢、大丈夫か?)
(これで……ほんとうに……じょうぶつでき……ます)
(おい、逝ってしまうのか? 中沢、おい、中沢……もう聞こえていないのか? おい!)

 その時、セイコがマッスルの手をそっと取った。
「中沢さん、成仏したわ……他の五柱といっしょに……」
「……もう奴とは話せないのか?」
「ええ……」
「そうか……残念だよ、もっと話していたかった……」
「彼らは無念の死を遂げたばかりに冥界に辿り着けずにいたの、それをフー・マンジューに利用されたんだわ」
「無念の死……俺達のせいか……」
「それは違うと思う……きっとみんな怪人になんかされたくなかった……中沢さんほどじゃなかったかも知れないけど他の五柱にも心は残っていたんだわ……だから大仏は元の形にまで戻れたんだと思う」
「今度こそ本当に成仏できた……そういうことなのか?」
「ええ……もうマンジューの魔術は届かない……私の陰陽道も」
「そうか……中沢は……満足して逝ったんだろうか……」
「きっと……」
「そうか……」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「セイコちゃん、さっきのはどういうことだったの?」
 マンジューには逃げられてしまったが、ショッカーの企みを退けることが出来たライダーチームは、無事にアジトに帰りついた。
 そして、ねぎらいのコーヒーを運んで来た志のぶは晴子に事の次第を尋ねたのだ。
「お線香の煙と香りはこの世とあの世を繋ぐだけでなく、生きている人と亡くなった人を繋げる力もあるの……中沢さんに心が残っていて、生きている時、剛さんと心の交流があったのなら、お線香で繋がればきっと響きあうと思ったの……」
「ダーリンと大仏様が煙で繋がっているように見えたのは……」
「煙を誘導したのはあたし、でも繋がったのは剛さんと中沢さんの心だったのよ、惹き合う力で繋がっていられたの」
「で、中沢は他の五柱と闘ってくれたのか……」
 剛が唸るように言った。
「ええ、でも、他の五柱にも心は残っていたんだわ、次第に中沢さんに同調して行った」
「つまり、それは彼らを改造したショッカーへの……」
「ええ、恨み……だったんだと思う」
「中沢は……最後まで……」
「ええ、他を説得してくれたわ」
「そうか……」
 剛は深くうなだれた。
「で、今度こそ本当に……」
「ええ、お線香の煙と一緒に天へ……もう恨みの心も消えて軽くなっていたから最初の時のような大量のお線香は必要なかった、一束で十分だったのよ」
「そうだったの……」

 晴子の説明を聞いて黙り込んでしまったライダーチーム、その面々に任務を終えた満足感の笑みはなかった。
 人の心をも弄ぶショッカー……その壊滅をそれぞれが心に誓うのだった。
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