1990 紫のシャコタンと水玉の原チャリ

文字数 728文字

ある時から近所に紫色のシャコタンと、
水玉の原チャリが停まっているのを
見かけるようになりました。

シャコタンのフロントガラスには
「〇〇」と、隣の市の名前がカッティッグシート
で貼られています。

その市はちょっとやんちゃな方々が
ブイブイ言わしている街でした。
(あ、うちの市はまじめな市です。)

「・・・」

私はその車と原チャリを見て、言葉を失いました。

なぜならその車と原チャリは
ショウ君の家の前に停まっていたからです。

そう言えばショウ君は少年院に入ったって父親が言っていたけど、
あれは本当だったのか・・。

そしてある日、私はショウ君と再会を果たします。

ショウ君の家の前に白いニッカポッカを着た人が立っていました。
ヘアスタイルはパンチパーマ、色のついたメガネ、
鼻の下には髭、金色の鎖のネックレス。
(エスとはまた違う種類の出で立ちで、
やんちゃ系にも色々系統があるのだなと思いました。)

恐る恐る通り過ぎながら顔を見ると、それは確かにショウ君でした。

あの頃のショウ君はどこに・・・。

なんとなく気まずくて会釈だけして通り過ぎました。

ショウ君も会釈だけ返してくれました。

きっと話せば普通だったのかもしれませんが、
その時の私はどう話しかけて良いかわかりませんでした。

そして妹のリカちゃんもすっかり変わってしまっていました。

当時のヤンキーの女の子は可愛かったですが、
リカちゃんもすっかり素敵なやんちゃレディになっていました。

そしてピンクの水玉の原チャリで
ブーンとどこかに出かけていきます。

「まみちゃんがお姉ちゃんだっらいいな」

あの気持ちはまだ持ってくれてたのでしょうか?

その後もその兄妹を何度か見かけましたが、
話しかけられなかったけど、
ショウ君もリカちゃんも心根は良い人だと信じています。

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