1985 女子グループでの葛藤

文字数 821文字

中三になったばかりの頃、
教室では出席番号順の席順で座っていましたが、
私は前の席のナツコと後ろの席のあかりちゃんと仲良くなりました。

お弁当のグループも彼女たちを含む5~6人で組まれ、
楽しい日々を過ごしていました。

中でもナツコとの時間は楽しく、
私は授業中よくお腹が鳴っていたのですが、
「キュルル~」と音が鳴ると、ナツコはフッと笑った後、
肩を揺らして笑っているのが後ろからもわかりました。

私は何度もお腹がキュルキュル鳴るので、
最終的にナツコは振り向いて
「ちょっとまみ、いい加減にして!!」と
笑いながら突っ込むのでした。

あかりちゃんもよく私に話しかけてくれて、
一緒に帰ったりしていました。

これまで馴染めなかった中学生活も、
明るさが見えた時でした。

しかしこれまでとは別の悩みが生まれました。

私は気がつくとナツコと喋っている事が多く、
後ろで見ていたあかりちゃんは
それを快く思っていなかったようでした。

ある日

「ナツコと仲良くするなら、もう二人でグループを抜けて」

と言われました。

あかりちゃんはグループを取り仕切っている子でした。

これまで学校に馴染めなかった私に、やっとできた楽しい仲間。

そこを追い出されるかもしれない。

ナツコのことは好きでしたが、
私はナツコとあまり話さなくなりました。

弱かったのです。

自分だってハブられた経験があり、その辛さはわかってるのに、
また自分がハブられる立場になるのが怖かった。

自分の時はさなえちゃんが仇をとってくれたのに、
私はナツコをフォローする事すらできなかった。

あかりちゃんはナツコをつまはじきにするようになり、
ナツコは寂しそうにグループを去りました。

幸い、グループを出た後、
別のグループに入って楽しそうにしていたので、
私はほっとしました。

でも、ナツコと遊べなくなって寂しかったのは、
私の方かもしれません。

今だったら迷うことなくナツコを選んでいるでしょう。

私は友達よりも自分を守ろうとする浅ましい自分に
負けてしまったのでした。

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