1974 昭和のペット事情

文字数 863文字


うちの近くには川があったのですが、
引越しをして間もなく、「河原に捨てられていた!」と、
父親が子犬を拾ってきました。

父は自分以外は女だらけの家だったので、
男の子が欲しかったみたいですが
(余談ですが、うちの母親は妹を産んだ時に産婆さんに
「あなたは女の子しか産まないからもうやめなさい」
と言われたそうです・・)、
オスのワンコだと思って拾って来た子犬は、
実際はメスでさらに女だらけになってしまいました。

チロは柴犬ミックスといった感じの雑種で、
端正な良い顔をした犬でした。
茶色と白の中間の色ということで「チロ」と名付けられました。

この頃は犬は番犬として、外で飼われるのが普通でした。

ご飯はドッグフードを与えるなんてのは一部の家で、
ご飯に味噌汁をかけて残ったおかずを乗せてあげていました。

主に母親が面倒を見ていましたが、
コミュニケーションの取り方に問題のある父親が、
チロがご飯を食べている時に
餌入れを取って怒らせて遊んでいたりしたので、
チロは母親以外の人を信用しなくなってしまいました。

私たち子供たちが近づいても「ウー」と威嚇するので、
怖くて近づけませんでした。

人が来るとすごい吠えるので、
番犬としての役目は果たしていましたが・・。

散歩に行く習慣もなく、時々庭に放して運動をさせていました。

今のペットの飼い方と比べると、ひどいものです。

条例?か何かで毎年狂犬病の注射をしないといけなかったのですが、
家ではわんわん歯をむき出して吠えるチロも、
注射の会場では尻尾を丸めてオドオドしていたようです。

注射をすると「犬」と書かれたシールがもらえて、
犬を飼っている人は、玄関や門に貼っていました。

動物病院も今みたいにあちこちになかった時代。
病気になってしまったら、もう仕方ない時代でした。

それでもチロは10年くらい生きました。

この頃は野良犬も多く、野犬狩りの車が出回っていました。

捕獲された野犬は、おそらく処分場に行ったのでしょう。

今でも無責任にペットを捨てる人はいるようですが、
それでも昭和の頃よりは動物たちも幸せに暮らせる時代に
なったと思います。

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