1994 家を建て直す

文字数 885文字


うちの前にはそれほど大きくない川が流れていましたが、
大雨が降ると度々氾濫し、
我が家も何度か床下浸水の被害に遭いました。
(今は川幅拡張工事がなされ、氾濫することはなくなりました。)

木造の家で土台が水に何度も浸かり、
このままでは木が腐って危ないと言うのと、
その他の部分も老朽化していたのもあったので、
盛り土をして少し地盤を高くして家を建て直すことになりました。

子供の頃から慣れ親しんだ家が
取り壊されるのを見るのは切なかったですが、
新しい家への期待は高まっていました。

新しい家ができるまでは二軒隣くらいの借家を借りました。

狭い家で一家五人、ぎゅうぎゅうで生活していました。

その頃の私は毎年北海道に旅行に行っていましたが、
この年の夏休みも北海道旅行の計画を立てていたものの、
台風が迫っていました。

フライトも危ぶまれましたが、なんとか飛び立ち、
しかし私の後の便からは欠航になりました。

北海道からもちょこちょこ家に電話を入れていましたが、
この時も川が決壊。
借家はついに床上浸水にまでなってしまいました。

「今、階段に座ってるー。
いろいろプカプカ浮かんでるー。」

母と下の妹だけ家にいて電話の向こうでそう言っていました。
(父は建設会社勤めだったので、
防災関連の作業に駆り出されていた。
上の妹はなぜいなかったのかは謎)

旅行を終えて家に帰ると、床上浸水の悲惨さがわかりました。
床下浸水とは全然違います。

畳は一応剥がして二階に上げていたようですが、
畳の下の板は一見乾いていたように見えても
湿気を含んでいたらしく、
その後敷いた畳からはカビが発生しました。

それ以外にもいつもどことなくドブのような匂いがして、
きつかったです。

私たちは新居の完成を待ちわびました。

台風から一ヶ月後くらいに家は完成しましたが、
その時は本当に嬉しかったのを覚えています。

そしてその家は今でも水に浸かることなく、
どっしりと構えてくれています。

今も水害のニュースなど目にしますが、
洪水も怖いし、家が流されなかったとしても、
その後の片付けや、
片付いた後もいろいろ問題が出て来たり、大変です。

経験しないとなかなかわからない事です。
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