1980 父方のおばあちゃん

文字数 909文字


母方のおばあちゃんは新橋に住んでいましたが、
父方のおばあちゃんは同じ敷地に住んでいました。

曾おじいちゃんの頃に建てた古い家に住んでいて、
その家には土間があり、お勝手は外(屋根はあり)でした。

お風呂も母屋とは別でした。

庭ではにわとりを買っていて、
おじいちゃんは薪を割ったりしていました。

おじいちゃんは宮大工で、
近所におじいちゃんが建てた小さなお宮もあったのですが、
私が物心ついてからは仕事は何もしておらず、
毎日家の周りをうろうろしている
名物じいさんみたいになっていました。

いつも橋の上に立っていて、
通りかかる小学生に小言を言ったりしていたので、
怖がられていたようですが、
私や妹には怒ったりしませんでした。

小学校に上がると母はパートに出ていたので、
母が帰って来るまではばあちゃんちで
テレビを見たりしていました。

リモコンを押すと、ダイアル式のチャンネルが
パンパン動いて切り替わり、凄いんだかアナログなんだか
わからない感じでした。

母屋の周りには納屋のような建物がいくつかあり、
農機具や工具などが沢山ありました。

年末になると臼と杵を出してきて、
餅つきをしました。

おばあちゃんに鏡餅の作り方を教わり、
丸くちぎったつきたてのお餅を粉をまぶした板の上に置き、
手でくるくると回して丸くします。

この時、縦長めしておかないと、
時間が経つとお餅の柔らかさで
ぺったんこになってしまうよと
おばあちゃんにアドバイスされました。

残ったお餅は大根おろしや納豆、きなこで食べる。
つきたてのお餅は美味しかったです。

新橋のおばあちゃんとは違い、
父方のおばあちゃんはいつもニコニコして
優しいおばあちゃんでした。

男の子三人しかおらず
(女の子が一人生まれたそうですが、
赤ちゃんの頃亡くなってしまったそうです)、
女の子がいなかったおばあちゃんは、
私たちに着物や浴衣を縫ってくれました。

でも私はある時「こんなのいらない!」
と言ってしまった事がありました。

母にめちゃくちゃ怒られましたが
(私が母だったら張り倒している)、
それは今でも心に残り、その時の事はすごく反省しています。

妹たちがそういうわがままを言ってるのは聞いた事がないですが、
私は本当にしょうもない子供でした。
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