1978 ひとりぼっちの夜
文字数 752文字
子供の頃は寝付きの悪い子供でした。
度々「寝れない・・」と、
母親が起きている時は階下に降りて行き、
梅酒や赤玉ポートワインを飲まされたりしました。
(おいおい)
母親が寝てしまっても、
親の寝室まで夜中に起きていって
「寝れない・・」と訴えたりもしました。
そんな私に母親は、
寝る前に本を読んでくれたりもしましたが、
妹は秒で寝てしまうのに、私は全然眠れませんでした。
母親もいつまでも本を読んではいられないので、
そのうち部屋を出て行ってしまい、
私は「寝ちゃダメ!」と
妹の顔をペチペチ叩いたりしていました。
(ひどい)
部屋には数字のパネルが
パタパタ変わるデジタル時計があったのですが、
カシャン、カシャンと音を立てて
一分、また一分と時間が進んでいきます。
10:00の区切りの時には4列のパネルが一度に変わるので
ひときわ大きく「カシャン!」と鳴り、
「あぁ、もう10時か!」と焦ります。
そのうち父親が階段を上がって来る音がして、
寝室に入っていく気配がします。
しばらくすると、
母親も上がって来て寝室に入って行きます。
襖の隙間から漏れていた階段の灯りが消え、
全てから取り残されてしまった絶望感に包まれるのです。
「今この世界で起きているのは私だけ・・」
心細くて押しつぶされそうでした。
後日談となりますが、小学校も高学年になると、
ラジオを聴くようになり、
深夜でもこうやってどこかで誰かが起きていて、
スタッフさんもお仕事をしてるのだなと思うと、
なんだかとてもホッとした気持ちになりました。
その頃からほんのりと、
ラジオ業界やテレビ業界に憧れを抱くようになりました。
その辺のお話はまた後ほど。
あ、ちなみにですが、今の私は不眠症とは程遠く、
12時過ぎると「眠い・・」と、うとうとして、
布団に入ると、こってり寝てしまうくらい図太くなりました。(笑)