第4章 神永未羅の場合 第46節 水の中の悪夢

文字数 235文字

その夜、夢を見た。
水の底で味わう絶望の味がする夢だった。

私は(でき)()したの?
いや、そうじゃないから、こうやって苦しんでるんだ。

そもそも、これ、絶望なのかな?
まだ底の底まで、落ち切ってないと思う。
そういう「(ちゅう)(かん)(そう)(かつ)(てき)な」絶望だな、これは。

水に落ちた石が(はん)(てん)()(じょう)するには、一度、水底を()む必要がある。
そこで、まだ命が()きていなければ、絶望は希望に変わる。
トランプの「大貧民」みたいに、それまで一番弱かった札が、いきなり最強になる。
光はどこにも見えないけど、きっと、どこかにある。
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