第二十話 三度目の正直、撃沈!
文字数 942文字
市役所に行くのも3回目ともなれば正直、苦にもなってくる。それでも申請をするためには行くしかない。
社長が不在ということで、社会保険脱退の手続きが行われているかの確認がぜんぜんできないのである。そりゃ、そうだ。あの会社は労務関係はすべて社長が行っている。事務員さんはふたりいるものの、お金に関係するような事務いっさいを仕切っているのは社長なのだ。
「脱退証明書を年金事務所でもらってくればいいですよね?」
そう質問すると、一重まぶたのきつい面立ちの女性職員さんは「もらえませんよ」ときっぱりと答えた。
「脱退証明書はそもそも年金事務所で発行してもらうものではないんです。あれは会社独自のものだから、欲しい場合は会社にお願いして作ってもらうしかないの」
職員さんの説明によると『脱退証明書』は会社が年金事務所に資格喪失を届けたあとで発行するものらしい。ゆえに会社ごとにフォーマットも違う。特にこれじゃなければならないというひな形は存在しない。だからいくら年金事務所に『脱退証明書を発行してくれ』と言ったところで『(会社へ)自分で申請してください』になるわけなのだ。
ここを私はわかっていなかったため、年金事務所に電話をしたときにわけのわからない、ちぐはぐなやりとりになってしまったのである。
「それから役所からは脱退証明書の発行を促す強制力のある指導はできないの。ほしかったら自分でどうにかしてもらうしかないの」
またしても民事に介入できないという理由が立ちはだかる。
普通の会社だったら『離職票』といっしょに『脱退証明書』も送ってくれる。こんな労力を割く必要はまったくないのに、なんてことだ――と結果、三度目の正直も撃沈することになった。
女性職員さんはとにかく『脱退証明書』があればなんとかできるからがんばってねと応援してくれたものの、三度行って申請ができない状況というのは、私の心をすり減らすには充分だった。
だが、そう言って背中を丸めていられない状況があった。
もはや一刻の猶予もなし。持てる知識をフル動員する。
翌日、もう一度年金事務所へ相談することにした。今の状況をきちんと説明したら力になってくれるかもしれない――そんな淡い期待はしかし、木っ端みじんに吹き飛ばされるのであった。
社長が不在ということで、社会保険脱退の手続きが行われているかの確認がぜんぜんできないのである。そりゃ、そうだ。あの会社は労務関係はすべて社長が行っている。事務員さんはふたりいるものの、お金に関係するような事務いっさいを仕切っているのは社長なのだ。
「脱退証明書を年金事務所でもらってくればいいですよね?」
そう質問すると、一重まぶたのきつい面立ちの女性職員さんは「もらえませんよ」ときっぱりと答えた。
「脱退証明書はそもそも年金事務所で発行してもらうものではないんです。あれは会社独自のものだから、欲しい場合は会社にお願いして作ってもらうしかないの」
職員さんの説明によると『脱退証明書』は会社が年金事務所に資格喪失を届けたあとで発行するものらしい。ゆえに会社ごとにフォーマットも違う。特にこれじゃなければならないというひな形は存在しない。だからいくら年金事務所に『脱退証明書を発行してくれ』と言ったところで『(会社へ)自分で申請してください』になるわけなのだ。
ここを私はわかっていなかったため、年金事務所に電話をしたときにわけのわからない、ちぐはぐなやりとりになってしまったのである。
「それから役所からは脱退証明書の発行を促す強制力のある指導はできないの。ほしかったら自分でどうにかしてもらうしかないの」
またしても民事に介入できないという理由が立ちはだかる。
普通の会社だったら『離職票』といっしょに『脱退証明書』も送ってくれる。こんな労力を割く必要はまったくないのに、なんてことだ――と結果、三度目の正直も撃沈することになった。
女性職員さんはとにかく『脱退証明書』があればなんとかできるからがんばってねと応援してくれたものの、三度行って申請ができない状況というのは、私の心をすり減らすには充分だった。
だが、そう言って背中を丸めていられない状況があった。
もはや一刻の猶予もなし。持てる知識をフル動員する。
翌日、もう一度年金事務所へ相談することにした。今の状況をきちんと説明したら力になってくれるかもしれない――そんな淡い期待はしかし、木っ端みじんに吹き飛ばされるのであった。