テンシ
文字数 316文字
墓所を荒らす者を捕らえてみれば、天使であった。天上より落ちて生きるに困った末、彼はこのような行為におよんだのだ。天使は唾をとばして不満を述べる。このていどの不正は地に住まう者皆がやっていることではないか、と。さよう、そして彼のような薄汚れた弱い立場の者を辱め責めたてることも、皆がやっていることである。地上の人間にとっては何よりの娯しみと言ってよい。われわれ人間が笑顔になるのは喜ばしいことなので、神はしばしば天使たちを地上に落としてくださる。ころころ、ころころと、毎日あちらこちらで天使が転がり落ちる音がする。誇りを吸いとられた後の天使たちは、立派に地上の者の顔をして、次々に落ちてくる天使を捕らえ、責めたてては娯しむのである。
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