タマ

文字数 194文字


 毎年誕生日になると一匹の小さな白蛇が私の元を訪れる。約束の日だな、約束の日ね、恒例の言葉を交わし私は自分の胸から玉を取り出す。鶏卵くらいの大きさで、真っ黒なものだ。蛇は大口を開けて静かに玉を呑む。しばらく物思いに耽るように黙りこんだ後、どの者も去年より小さいではないかと不満をもらし去っていく。あの蛇は私を含めた何人かの命そのもので、私達は蛇の食べる玉をつくるために姿を得た何かである。



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