キン
文字数 255文字
錬金術というものがあるらしい。遠方の国ではその術で鉱物から黄金を生み出すと聞く。なんと進んだ文明か! わが王国には砂金の粒から兵士を生む技が昔からあるくらいだ。その技も、金が惜しいので余が禁じたのだが、放棄された技の素のせいか、川の砂金から人間が勝手に生まれ、王国民のふりをして随分紛れこんでいるようだ。国民だの兵士だのが増えて何になろう。王が国であり、黄金が国の力である。人間などが増えてしまい、数十か所に巨大な町ができ商売などという卑しいなりわいが盛んに行われ賑わっているわが王国の後進性にため息が出る。
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