シカクスイ
文字数 265文字
ここではない世界の話。険しい山々に囲まれた、広い盆地があった。古い言い伝えによれば、その一帯は神の履物らしい。ある時代の王が悪戯心からその地に四角錐の建物を造らせた。しかし何事も起きなかった。さらに千年が経った頃、ある日突然盆地を黒い影が覆った。たっぷりとした質量の物体が地に降りてきた。今なお頑丈さを維持している四角錐は、星そのものと言ってよいほどの重さを受けてもよく耐えた。途端、世界一面に響く大きな声! それはまるで獣が苦痛に吠えるようであったと生き残りは言う。そして果てしなく巨大な何かが世界に向けて倒れ込んできた……。
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