ツクル
文字数 346文字
自分を神と言い張る存在に、えらく怒られた。彼が新しい世界をつくるために用意していた材料を、わたしがつまみ食いしてしまったのだ。とくにおいしそうに見えたわけではないのに、なぜぱくぱくと食べてしまったのか、自分でもよくわからない。彼が本当に言葉通りに神であるなら、新世界を次々に生み出すことにばかり夢中にならず、以前つくった世界のこともときどき気にかけてやるべきだと不快に思ったからかもしれない。きっと、彼がかなり前につくりもう忘れてしまった世界では、そこに住まう人々が神に感謝をささげたり、神を畏れたり、神を愛したりしているにちがいないのだ。わたしは彼のそういう気移りの癖が嫌いなのだが、気がつけば彼に、今日の晩ごはんのおかずに何をつくってほしいか訊いたり、その髪を撫でたりしているのだった。
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