第17.1話 二人組、焦る。

文字数 863文字

お猫様のためと思い、良かれと思ってやったことが完全に裏目に出てしまった……。
どうすっかな……。
元のお家に帰したほうがよさそうにゃ。
ピンポーンと、急に部屋の中に来客のチャイムが響く。
む、来客のようだ。
市長は席を立ってモニターごしに来客者を確認している。

俺たちはそろそろこの場を去った方がよさそうだな。

おぉ、蒼愛か。

ようきた。くるしゅうない。

あの……。

まっておれ。

いまそこを開けるでの。

俺が声をかけて離れようとした瞬間。
なーご。
あ、お猫様!
お猫様は、俺の手から離れて逃げてしまった……。
あ、遠くに行っちゃダメにゃよ。
慌てずともよい。隣は娘の部屋じゃ。

くるしゅうないぞ。

市長の娘さんの部屋のドアが少し開いていたので、お猫様はその中に入って行ってしまった。

スミマセン。

出てきたら、連れていきますので……。

そうこうしてるうちに、市長の来客者と思われる女の子が入って来た。
……!
おぉ、蒼愛。

よう来た。

ゲッ……。あのお猫様の家の子だッ!!

う~ん、これは出たほうがいいんじゃないかにゃ?
ただ、いきなり出ていくにしても事態が事態なモンで……。
そもそも、俺たちがお猫様を連れて行ったのも見られてないし、

俺たちの姿も知っているハズがないから堂々としてりゃ平気だろ。

……!!
なんだ?

この女の子、さっきから喋らないぞ?

まさか、気づいて……るのか?

俺たち、出ていったほうがよさそうですね?
……。
女の子が首を振る。

退出しなくてもいいってことなのか?

この少女、蒼愛は生まれたときから喋ることができない子なのだ。

蒼愛としては、後から来た身であるから、気をつかう必要はないと思っておるのだろう。

……。
少女が両手で〇を作ってジェスチャーしている。
なんか、気ぃ使わせてスイマセン。
ダメなヨージにゃね。
ミーコ、追い打ちかけんなよ!

して、蒼愛よ。何用じゃ?
市長が筆記用具を渡している。

女の子はそれを受け取ると、ペンで紙に記入しはじめた。

……む?

妖精サマを探しておるのか。

シチョーのいう妖精って、野良猫のことにゃよね。
……げ、マジかよ。


たまたまにしても、ここに来るかー!?
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登場人物紹介

猫。

態度が大きい。記憶がないようだ。

天界に住んでいる。

下界の様子を見ることができる。

神の忠実な僕(しもべ)。

神を侮辱、愚弄する輩を許さない。

転生する前の姿。

本人は太っているとは思っていない。

ナイスガイだと思っているようだ。

好奇心旺盛な男の子。

どうやら、姉がいるようだ。

男の子の姉。

どうやら、不思議な力があるみたい。

二人の子供のお母さん。

優しく料理が得意。

謎の二人組のウチの一人。

もう一人の女の子と組んで、何やら活動をしているらしい。

謎の二人組のウチの一人。

喋る時、ねこ語という独自の言葉を使う。

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