第21話 ナイスガイ、覚醒する。

文字数 915文字

そんな自称ナイスガイくんに、提案がある。
なんか、言い方にトゲがあるな?
いやいや、他意はないよ。

ただ、興味深いだけさ。

まぁいい。

俺様は懐が広いからな。

キミ、人間の言葉が聞き取れなくて困っているだろう?
ん、あぁ。

よくわかるな、そんなこと。

猫という構造上それは仕方がないんだよ。

さまざまな言葉を解析して、理解するのが難しいんだ。

なるほどな。

部分的に名前くらいは聞き取れるのはそういうことか。

そうだねぇ。

ご飯とか特定のワードも繰り返し聞いていれば聞き取れるだろうが、文章は厳しい。

やっぱりそうなのか。
そう考えるとソアラのテレパシーの恩恵は大きいな。
ワタシがちょっと手を貸してあげよう。
……ん?

どういうことだ?

まぁ、細かいことは気にしないで。

ちょっとこっちへ来てくれないか。

なんだ、嫌な予感しかしねーぞ?
俺様が部屋の入り口にいて、ヤトは部屋の奥の椅子にかけている。

距離にしたら、3mくらいか。

キミのためなんだよ?
そういうワードは大体罠なんだよ。
警戒心が高いのはいい防衛本能だね。

だが、今はその時ではない。

ヤトよ。

俺様に何をするつもりだ?

言葉のとおりさ。

悪いことではないよ。

まぁ、いいだろう。
ヤトの前に歩み出る。
いい子だ。

ちょっとそのままにしていてくれ。

ヤトが俺様の頭に手を載せる。

アンドロイドだっていうのに、体温を感じるぞ?

よし。

終わりだ。

あ?

何したんだ?

キミの脳に直接人間の言葉を理解できるように信号を送ったのさ。
マジかよ……。
では、このキミだけに聞こえる音ではなく普通に喋ってみせようか?
お、おう。
ナイスガイくん。

聴こえていますか?

ん、なんかクリアに聞こえるような。
よかったぁ。

うまくいったみたいだねっ。

なんか、喋り方変わってねーか?
そうなんだぁ。

猫さんの言葉って難しいから、言い回しがおかしくなっちゃうのかも。

急に威厳がなくなったな……。
ひどいなぁ。
でも、こんなに簡単に言葉がわかるようになるなら、言葉も喋れるようになるのか?
舌の構造が人と違うから、それは難しいねぇ。
いや、十分だ。

言葉がわかるだけでも、かなり便利だ。

力になれてよかったぁ。
進化した俺様は、ナイスガイイヤーを得た。
ネーミングセンスも難ありっと……。
メモるんじゃあない。
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登場人物紹介

猫。

態度が大きい。記憶がないようだ。

天界に住んでいる。

下界の様子を見ることができる。

神の忠実な僕(しもべ)。

神を侮辱、愚弄する輩を許さない。

転生する前の姿。

本人は太っているとは思っていない。

ナイスガイだと思っているようだ。

好奇心旺盛な男の子。

どうやら、姉がいるようだ。

男の子の姉。

どうやら、不思議な力があるみたい。

二人の子供のお母さん。

優しく料理が得意。

謎の二人組のウチの一人。

もう一人の女の子と組んで、何やら活動をしているらしい。

謎の二人組のウチの一人。

喋る時、ねこ語という独自の言葉を使う。

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