第21.2話 少女、許す。

文字数 754文字

おかしいな。

ガイくんの姿が見えない……。

ここに来ているのは、間違いないはずなんだけど……。

ガイくーん?
市長さんのお家に入った途端、応答がなくなっちゃった……。
蒼愛(そあら)よ。

妖精様は確かにここへ来ておるぞ。

よかった。

ガイくん無事だったんだ。

そこの二人組がここへ連れて来たのだ。
あー、えーっと……。
そうにゃ。

ヨージがシチョーが面倒みるのがいいって言ったのにゃ。

……?
どういうことかな?

ガイくんが外に出たのを見つけて、保護してくれたってこと?

お猫様のためを思ってとはいえ、すまねぇ!
ヨージに悪気はないにゃ。

ソアラが飼い主って知ってたけど、勝手にシチョーのところへ連れて来たのにゃ。

お、お前……! ぬけぬけとバラすなよ!

言ってることは間違いじゃねぇけど……。


どういうことだろう?

悪気はなく、市長さんを頼ってガイくんをここへ連れてきたってことなのかな。それだけなら特別問題があるようには思えないけど……。


でもまだ何か隠し事があるような気がしなくもない。


ハッハッハッ!

くるしゅうない。くるしゅうないぞ。

双方言い分はあるだろうが、ここは余に免じて不問とせぬか?

余が求めるのは市民の平和じゃ。争いは好まぬのでな。

……。
筆記用具を使って、文字を書いた。

私の素直な気持ちを——。

「保護してくれて、ありがとう」だって?!
よかったにゃね、ヨージ。

お礼言われたにゃよ。

……うぅ。

すまねぇ、ソアラちゃん。

よくわからないけど、しょんぼりしていて、すごく反省してるみたい。

悪い人じゃなさそう。


それはともかくとして、ガイくんはどこにいるんだろう?

文字にして、市長さんに見せる。

む、妖精様か。

ヤトの部屋に入っていったぞ。


ヤト……?

あのヤトさんのところにいるんだ。


ガイくんの居場所がわかって、ホッと胸を撫で下ろす。


よし、迎えに行こう!


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登場人物紹介

猫。

態度が大きい。記憶がないようだ。

天界に住んでいる。

下界の様子を見ることができる。

神の忠実な僕(しもべ)。

神を侮辱、愚弄する輩を許さない。

転生する前の姿。

本人は太っているとは思っていない。

ナイスガイだと思っているようだ。

好奇心旺盛な男の子。

どうやら、姉がいるようだ。

男の子の姉。

どうやら、不思議な力があるみたい。

二人の子供のお母さん。

優しく料理が得意。

謎の二人組のウチの一人。

もう一人の女の子と組んで、何やら活動をしているらしい。

謎の二人組のウチの一人。

喋る時、ねこ語という独自の言葉を使う。

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