第3話 いかなる手段を講じても
文字数 1,657文字
アダム・ナイペルクは、勇敢な軍人だった。彼の右目は、オランダでの戦闘で失われたものだ。
その豪胆さを見込んで、皇帝は彼を、皇女マリー・ルイーゼの護衛官に任じた。
彼女は、ナポレオンが選んだ、フランツの養育係の女官長で、ママ・キューと呼ばれていた。フランツは、母親よりも、彼女の方に懐いていた。
母親になったら、お友達と仲良くしたら、いけないの? 子どもべったりでいなきゃ、いけないっていうの?
私には、彼が必要なのよ!
私はナポレオンの妻だったのよ? ウィーンの敵だったの! この宮廷で、誰が私の味方になってくれるというの? ナイペルクの他に!
モンテスキュー伯爵夫人なんて、大っ嫌い!