ナポレオン2世ライヒシュタット公/スウィート・フランツェン
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文字数 729文字
フランツ君、注文していた君の馬が来たよ。
(傍白)
ナポレオンだ!
だって僕は、戦争に行くんだからね!
パパみたいに!
(傍白)
ナポレオンのことは話してはいけない。今はまだ、その時ではない……。
(遠くを見る目で)
その時パパがくれたのは、軍馬だった……。
(フランツに)
でも、フランツ君。戦争に行ったら、怪我をしたり、下手をすると、死んでしまうかもしれないんだよ?
ねえ、先生。
戦争に行ったからって、みんな死んじゃうわけじゃないでしょ?
僕は、死にたくない!
……。
兵隊たちが、君を守ってくれるとしたら?
それから……これは、ちょっと難しいかもしれないけど……、
兵士の数を数えたり!
(重々しく頷く)
この子の、「軍事的傾向」を、しきりと取り沙汰する輩(やから)がいる。けれど、「軍事的傾向」といったって、この程度のものだ。普通の男の子と、変わらないじゃないか……。
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フランツ(フランソワ)
ナポレオンとオーストリア皇女、マリー・ルイーゼの息子。父の没落に伴い、ウィーンのハプスブルク宮廷で育てられる。
無位無官のただの「フランツ君」だったのだが、7歳の時、祖父の皇帝より、「ライヒシュタット公」の称号を授けられる。
ディートリヒシュタイン伯爵
フランツにつけられた、コワモテ家庭教師。家庭教師は他に、フォレスチ、コリンがいる。
オーストリア皇帝フランツ
フランツの祖父。なお、「フランツ」の名前は、ナポレオンが、この祖父から貰った。
マリー・ルイーゼ
フランツの母。ナポレオンと結婚したご褒美に、ウィーン会議の時、パルマに領土を貰う。
片目の将軍(後パルマ執政官)ナイペルクと、絶賛恋愛中。
ナイペルク
皇帝がマリー・ルイーゼにつけた護衛官。後、パルマ執政官。家庭教師のディートリヒシュタインとは古い友人。
ナポレオン
エルバ島に封じられてから、百日天下を経て、セント・ヘレナ島で亡くなるまでの時代設定です。