第32話 ナポレオンの死
文字数 1,051文字
大量の涙が、フランツの目からあふれ出た。
フォレスチが予想していたよりもひどく、フランツは泣いた。
コリンがお悔やみを言いに来た時も、彼はまだ、泣いていた。
皇帝夫妻は、馬車を仕立て、狩猟に出かけた。
宮中は、全くいつも通りだった。
しかし、彼に仕える者たちまで、ナポレオンの喪に服すべきではない。
あなたは、父親の美徳だけを受け継ぎ、この悲しい結果を生んだ、父の失敗は避けるよう、心がけねばなりませんよ……。
この結婚は貴賤婚※2である。ウィーンには、フランツだけでなく、父の皇帝にも秘密にしていた。
さらに、1週間後、マリー・ルイーゼは、ナイペルクとの間の、4人目の女の子を流産した。
※1 8月7日。9月説あり。
※2 領土を増やす為、ハプスブルグ家の大公・大公女は、所領のない者とは、婚姻してはならなかった。