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文字数 609文字

「十兵衛さんが出向く程の案件ですかねぇ」

「そういう、あんたが出て来る程の事かな?
もう隠居して、茶でも飲んているかと思っていたよ」

「あはは、二代目には、漸く平定した世の中、諸大名の動向を探ると言う仕事があるのでな。私の様な隠居がでるしかないんだよ。
こう言う事にはね。それに旧知の宮本武蔵と、酒でも飲もうかと思ってな」

「へぇー、本物の方かい?」

「そうさな、本物の方だよ。
さて、偽物は何処にいるのやら。
わざわざ騒ぎを起こして、消えるとはね」

「何でも、手下の探りによると。佐々木小次郎が絡んでいるらしい。最初は肥後の柔術家、
宮本武蔵を名乗っていたそうだがな。
どうして、剣豪宮本武蔵なんて、名乗り直したのかな?」

「フフフフ、佐々木小次郎が手を回したのさ。あやつ九州に向かう道すがら、剣豪宮本武蔵の噂を広めて回っているフシがある」

「成る程、プロデューサーって訳だな。
案外、あいつの仲間かもな」

「さて、剣客が増えるとろくな事はない。
平安を迎えた江戸幕府にとって、治安維持が庶民の心を掴むのに一番良いからねぇ。
佐々木小次郎でさえ、元は百姓と聞く。
戦後処理は大変だよ」

「まったくだ。じゃ、俺が佐々木小次郎を斬るか?」

「いや、宮本武蔵と佐々木小次郎、二人に遣り合ってもらおうと思ってな。作を弄した。
今、佐々木小次郎は福岡にいる。後は宮本武蔵を誘き出して、試合でもやってもらおう。
残った方を、斬るなり捕まえるなりすれば、
手がかからんのでな」
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