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文字数 609文字

 吉岡一門の追手は、藪千代さんの見事な隠遁術で気が付かず。
良三君を追い掛けていったぁ。
 そして殿からは吉岡一馬の姿が。
目が血走り殺気をはらんでいた。
二人の門弟に肩を貸してもらっていたが、手を解くと。

「お前らも追え!私は後から行く!
私が行くまで殺すなよ!」

と何とも怖い事を仰有ったぁ。藪千代さん震えながら念仏を唱えておりました。
見付かるな見付かるなと。
 ふと気が付けば、誰もいなくなっていた。
藪千代さんこれは間違いなく、良三は殺されるな、と急いで宿に帰ると。夜が明けぬうちに肥後へと帰ろうと、支度を始めたのでした。

 その頃、町中を走り逃げる良三君。
繁華街を走り回っていた。
人を隠すにゃ人の中、と思ってか思わないか。
茶屋や飲み屋を入り口から入って、裏口を出るを繰り返しておりました。
 そんな一軒の飲み屋に、酒を飲み肴を堪能する武芸者がいた。
かのぉ!佐々木小次郎その人であったぁー!
(やっと出た)
佐々木小次郎、必死で裏口を探す良三を見て。

「あれ?ありゃ良ちゃんじゃ?」

と思ったが、声を掛ける前に良三君、裏口から逃げたぁ。
 佐々木小次郎さんニヤニヤ笑うと、

「はぁ〜、あいつも武芸者になったんだ。
あはは、面白れぇ〜」

と呟いた。
すると吉岡一門がなだれ込んできて。

「大男が来なかったか?」

と佐々木小次郎さんに聞いたぁ。
小次郎さん、

「ああ、あっちへ逃げた」

と、明後日な方向を教えたぁ。

「かたじけない!」

と言うと、吉岡一門去っていった。
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