巷話。剣豪、宮本武蔵誕生!

文字数 578文字

 よしよし、宮本武蔵と名乗っているのなら。そう言う剣豪に成ってもらおう。
(佐々木小次郎、思惑)

 さえ、良三君は山へと逃げておりました。
山は小高い岡程度の高さ。竹藪になっておりました。ここなら人と竹の区別がつき辛く、安易に逃げられるとの判断によりました。
佐々木小次郎さんも竹藪に入りましたが。
何せ月夜とはいえ、街明かりが届かなくなれば結構暗い。良三君を見失っていました。

 更に後ろからやって来た、吉岡一馬も佐々木小次郎を見失うと言う。
三人で完全に藪の中で御座いました。
 しばらく歩いて、さてどちらかなと良三君が立ち止まって辺りを伺っていると。
さーっ、と雲に隠れた月明かりが、辺りを照らしました。
と、そこには鬼の形相の、吉岡一馬が良三の前に立っていました。
 吉岡さん、早くから自分の前に人が隠れているのを見付けておりました。
良三君、吉岡一馬の顔を見ると。

「すまん!悪かった!俺は宮本武蔵じゃないんだ。唯の百姓なんだ、許してくれ」

と謝りました。
何せ一馬さん既に剣を抜いて。今にも斬り掛かろうとしていたのです。
ですが良三君の言葉が、一馬さんの怒りに油を注いでしまったぁ!

「なにぃ!百姓の分際で道場を荒らし。
武士の顔を足蹴にしたのか!
許さんぞ、その首跳ねてやる!」

とブンブン真剣を振り回して来ました。
良三君、

「きゃー」

と、女の子みたいな悲鳴を上げて、逃げ回りました。
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