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文字数 557文字

 最早、柔術でも何でもない唯の喧嘩だった。バキッ!と音がして。
又もや一馬さん道場の床に倒れた。
 今度は門弟達シーンとしてしまった。
一馬さん、これは次期当主として道場主として、沽券に関わると素早く立ち上がり。

「貴様!武士の顔を殴るとは・・・」

と、自分は木刀で打ち殺そうとしているのを棚に上げてそう言った。
 ニヤニヤ笑う良三君。勝ったと思い、スーッと近寄り書状を奪おうとすると。
一馬さん良三の伸ばした手を、
バキッ!と木刀で打ち据えた。

「いてーっ!何すんだ。俺の勝ちだろう?」

と良三君が言うと、

「まだだ!まだ相手は立っているぞ!」

と一馬さんフラフラしながらも、そう言った。
最早、一馬さんグロッキー寸前だった。
 しょうがねぇな、と良三君構えると。
待ってましたと一馬さん渾身の一撃を放った。
頭を狙った攻撃だ。
 今度は避けられた後も、横に薙ぎ払い。
良三を仕留めるつもりだったが。
良三君、一馬さんが上に振りかぶった瞬間。
体当たりを敢行、見事に懐に決まり。
そのまま掴むとなけ飛ばした。

 しかも床に叩き付けて手を離さなかった。
グッ!と呻く一馬さんの袂から、書状をひったくると、近寄る門弟を蹴散らして。道場の庭に続く引き戸を蹴破ると、裸足で逃げた!

「待てー!」

と言う言葉を聞いても。振り向きもせずに、
良三君、庭から道へと飛び出したー!
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